日本人は市場よりも交渉がお好き

2010.01.19

経営・マネジメント

日本人は市場よりも交渉がお好き

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コメの市場形成を狙ったコメ価格センターが、廃止を含め見直しを迫られています。売り手である農協も買い手である流通業者とも、市場取引よりも自由に価格交渉できる相対取引を望んでいるとの事です。市場よりも相対の方が、効率的かつ公正な価格形成ができる!?その背景にあるものは一体何なのかを考えます。

経営、業務、仕事において定石とされる理論を軽視し、自分の知識、経験のみに頼るのは、将棋、囲碁の名人に、駒の動かし方も知らない素人が、ハンデをもらわずに挑戦するようなもの、ステルス爆撃機を竹槍で迎撃しようとするようなものです。

すべての取引が市場で解決できれば、買い手は最も効率的に適正な価格で調達・購買ができるのですが、残念ながら、すべての売り手、環境が合理的という訳ではないので、必ずしも、すべての取引で効率的な市場を構築する事はできません。

なので、交渉は必要悪のような存在です。その交渉にも、交渉学の理論に基づいた様々なフレームワーク、定石が存在します。そうした交渉におけるフレームワーク、定石を体得すれば、交渉における相手の陳腐なトラップを見破り、対抗手段を打ったり、相手を合理的な取引に導いたりできます。

たとえば、人間には、間違いである事が証明されても、慣れ親しんだものは正しい、良いものと思い続けてしまう悲しい性があります。営業マンが渋る買い手の許に日参する、選挙で候補者が名前を連呼してただお願いする、大企業が高いお金を払って商品を宣伝する事なく企業名を連呼するだけの社名広告を打つというのも、この効果を狙っての事でしょう。

これらの何れの行為も、そのアピールしているものが良いものである事の証明にも、或いはその改善にもつながりません。こうした安易なトリックに引っかからないよう、マネジメント、業務、仕事においても、我われは、もう少し先人が培ってきた理論に敬意を払った方が良いのではと思います。

※このような問題意識を踏まえて、「不敗のBtoB取引交渉入門(買い手企業編)」勉強会、ワークショップを開催します。BtoB取引交渉の特殊な要因や既存の交渉術の限界を踏まえ、BtoB取引交渉に適した交渉のフレームワーク、定石を修得するための勉強会、ワークショップです。是非、ご参加頂ければと存じます。詳細、申し込みはこちら⇒https://www.insightnow.jp/communities/id/54  

※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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