フレームワークを端緒に「見えないものを見る」をつらつら考える

2009.11.30

経営・マネジメント

フレームワークを端緒に「見えないものを見る」をつらつら考える

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

コンサルティングスキルがフォロアーレベルにまで普及してきました。普及したとしても真髄の部分は全く理解されない。抜け落ちるものが相当ある。空手がもし普及しても、達人と知っているだけの人では雲泥の差が生じますよね。それと同じです。で、その抜け落ちるであろう部分は何なのでしょう?ということをつらつら書きます。

 それと同じです。エンティティ自体は言語記述されますが、関係は言語記述されない。それがフレームワークの欠点です。でもね、ちゃんと考えて作ったフレームワークを、見る人が見ると、関係が浮かび出て見えます。

 既存言語で関係性の記述は非常に複雑で難しいのです。

 人はつい、視覚に頼ります。目に見えるものに頼るのです。

 論理とは、関係性について正しく物事を言うことです。本当はね。でも、そこに留意できている論理的な人をあんまり見たことがありません。

 だから小さい領域で物事を取り出してきて、正しい論理を展開するのは簡単です。でも、小さい領域で何かを取り出してきても意味がないことが多いのです。

 いいですか?

 既存の複雑な関係の中で、えいやあ!と物事を言うから価値があるんです。その関係をわかりつつ、言うから意味があるのですね。

 部分にフォーカスしてロジカルであってもバリューがない場合が多いです。そんなものはロジックでもなんでもない。ただの自己満足です。

 これは、全体最適VS部分最適の議論でもあります。業務改革でよく言われますが、もっと広い領域に拡張可能な概念です。

 業務改革で言うと、部分を切り出して、その中だけ効率化するのは簡単です。それは外部に非効率をもたらしていることが多いのです。そうじゃなくて、もっと大きなシステムの中での最適を考えることはすごく難しい。

 でも、解はあります。たまに、全体最適と称して、自社内だけにメリットを出して、パートナー企業というか業者さんにいろいろと押し付けている企業がたくさんあります。

 マスコミがもてはやした日本の「ものづくり」もそうでした。自分より弱いものに押し付けをしただけでした。ずっと。

 そういう発想ではなく、バリューチェーン全体での最適を本当に考えれば、まったく別の解があったのにね。その問いを発することすらしない。そんなことでは答えは出ない。

 マーケティングで言うと、たとえばトイレを売る会社があったとしましょう。でも、センサーをつけて、検便、検尿が毎日できて、健康モニタリングができるようにしたとします。

 売っているのは、トイレではなく、健康管理であり、安心ですよね。その全体バリューをいかに提供するのか?があるべき論点です。

 でもね、トイレという「物」に囚われている人は、トイレを売りつけることにフォーカスしちゃう。トイレの改善にフォーカスしちゃう。そうすると、健康管理で安心な日々を提供する、というところからの事業拡大は見えなくなってしまう。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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