月間利用者数約1900万人、掲載アイテム数5000万。日本最大の購買支援サイト『価格.com』が好調だ。世界的不況の中でも利用者は増え続け、業績も安定している。創業以来、着実な成長を遂げ、ホテル予約、グルメ、マンションなどさまざまなジャンルへと進出する株式会社カカクコム。その事業の柱である『価格.com』成長の秘密に迫る。
最終回 「値段の付いているもの、すべてを網羅したい」
■横展開、そしてモノからサービスへの展開
「値段のついているものはすべて価格.comで比較可能にしたいと常に考えていました。そこから次の展開が始まったんです」
パソコン関連の次にサイト掲載されたのは家電である。家電の次はエリアを秋葉原からお茶の水界隈にシフトし、一帯に多いスポーツ用品を扱うようになった。そしてブランド品へと慎重に扱い商品ジャンルを広げていった。
「一つ新しいジャンル展開するたびに、パソコンの比較と同じプロセスの繰り返しです。最初は何だお前らはという感じでメーカーさんにも店舗さんにも相手にされませんが、ユーザーを掴んでしまうと、力関係が微妙に変わっていく。そうやって一つずつ、新しい商品ジャンルを開拓してきました」
やがて扱うのはモノに限らなくなってくる。たとえば保険の一括見積もりだ。ちょうどタイミング良く保険の自由化が始まり、ここにビジネスチャンスありと見た価格.comは、保険の一括比較サービスを立ち上げる。
「ところが保険はサービスです。具体的なモノではないだけに難しかった。厳密に比較しようとすればするほど、各社ごとに微妙に保障内容やサービスが異なりますし、契約者のニーズによって必要な保障内容も全く変わってくる。いろいろな課題が浮き彫りになってきました。さんざん検討した結果、同一商品として一律に比較してみせることができないのが保険です。そこで考えたのが、ケースを示すことでした」
同一商品としての比較が難しいのであれば、実際に保険を契約するユーザーの立場にたって、保険会社各社の見積もり結果を比べればいい。用意されたのが20パターン近くの契約者の事例集だ。これなら自分と近い条件の人を参考にして、各社の保険を比べることができる。
「これも一部の大手保険会社さんからは嫌がられましたね。なんで、そんな頼んでもいないことをするんだって。でもユーザーメリットを考えれば、すべてを比較しないと意味がないわけです」
そもそも保険を比較して選ぶという習慣を、私たちは持っていなかったはずだ。保険とはそうした比較になじまない商品、そんなイメージがいつの間にかすり込まれていた。圧倒的な情報の不均衡もあった。しかし、誰かが情報をきちんと整理して比較できるような仕組みをしっかり作れば、比べてみたくなるのは自然な流れである。
「おかげさまで今では、相当な数のお客様に使っていただけるサービスになっています。当然、このサービスを経由して保険会社さんから頂く手数料も、私たちの重要な収入源の一つになっています」
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FMO第27弾【株式会社カカクコム】
2009.09.29
2009.09.15
2009.09.08
2009.09.02