月間利用者数約1900万人、掲載アイテム数5000万。日本最大の購買支援サイト『価格.com』が好調だ。世界的不況の中でも利用者は増え続け、業績も安定している。創業以来、着実な成長を遂げ、ホテル予約、グルメ、マンションなどさまざまなジャンルへと進出する株式会社カカクコム。その事業の柱である『価格.com』成長の秘密に迫る。
3回
「価格.comを支えるConsumer Generated Powerの威力」
■激安有力店からの問い合わせ
「なんで、うちの店がだけが載ってないんだ!逆説的ですが店舗さんからのこういったお叱りが、価格.comにとって決定的なターニングポイントになりました」
最安値情報を掲載するメディアとしての地位を確立しつつあった価格.comにとって残された課題は、売れている店からの協力を取り付けること。そもそも価格情報など提供しなくとも売れている店が、価格.comに広告を出す言われは本来ない。ネットが登場する前なら、その論理で販売店は押し切ったはずだ。
「ところがユーザーの間ではすでに、パソコンの価格情報は価格.comで調べるのが当たり前になっていました。当時は槇野さんが一人で価格情報を掲載していたため、掲載できる店舗数にも限界があります。そのため、時折店舗さんの価格情報の掲載漏れが起こったのです」
掲載されなかった店舗の売行きが目に見えて落ちた。店としては大問題である。
「『どうして、うちの店が掲載されていないんだ』と、店舗さんから問い合わせというか、お叱りの声をいただきます。そこで漏らさず価格を掲載する代わりに、広告を出していただくという関係が販売店さんと構築できるようになり、ついにはすべての販売店から広告をいただけるようになったと聞いています。結局はユーザーの動きこそが、多くの店舗さんを動かしてくれたわけですね」
販売店もお客さまの声は無視することができない。CGM(Consumer Generated Media)という言葉があるが、これに習うなら価格.comはCGP(Consumer Generated Power)を持つサイトと言っていいだろう。
「その後、販売店さんに対しては、価格.com掲載によるコストパフォーマンスがより明確になるシステムを導入しました。つまり価格.comからお店にネット経由で送客できた場合、1クリックあたりいくらといった形で利用料をいただくようにしたのです」
価格.comがここまでやってきたことは、すべてユーザーオリエンティッドな姿勢で貫かれている。ユーザーが求めている価格情報を提供する、可能な限りリアルタイムで更新される鮮度の高い情報を提供する、自分が関心を持っている情報を得られる掲示板を提供する。愚直なまでにユーザーのためにシステムをブラッシュアップさせ続けてきた結果が、当初は思いもよらなかった力の獲得につながった。
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FMO第27弾【株式会社カカクコム】
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2009.09.02