月間利用者数約1900万人、掲載アイテム数5000万。日本最大の購買支援サイト『価格.com』が好調だ。世界的不況の中でも利用者は増え続け、業績も安定している。創業以来、着実な成長を遂げ、ホテル予約、グルメ、マンションなどさまざまなジャンルへと進出する株式会社カカクコム。その事業の柱である『価格.com』成長の秘密に迫る。
第2回
「価格.com、収益化までの意外なプロセス」
■ネットが引き起こした力関係の逆転
「たぶん、すごくおっかなびっくりだったに違いありません。初めてお店の方に価格を入力してくれ、なんて持ちかけたときには」
自分一人で調べて入力していた価格情報を、思いきって販売店に入力してもらう。まさにコペルニクス的な転回を創業者槇野氏は思いついた。そして、この大胆な方向転換こそが価格.comを後に『日本一の購買支援サイト』にまで育てあげる最高のカンフル剤となった。
「価格入力の話を持ちかけると、意外なことに販売店さんはたいていすんなりと乗ってくれたそうです。当時の価格.comは槇野さん1人での運営ですから、リアルタイムな情報更新は無理。実はこれが販売店さんにとっても悩みの種だったのです」
ユーザーはサイトに掲載されている価格こそが、現時点でのベストプライスという前提で比較検討する。だからその情報が古く、万が一高い値付けになっていたりすれば、販売店にとっては明らかに販売機会ロスとなる。
「これはまずいと思われたのでしょう、皆さん積極的に価格登録してくださったようです。この価格登録システムが結果的には販売店さんの価格競争に拍車をかけることになり、ひいては最安値情報が見つかる価格.comの価値を増すことになりました」
店舗サイドが自ら進んで価格を入力するようなサイトは、価格.comの他にはたぶん存在しない。通常の価格比較サイトは検索ロボットがネットをクロールして情報を集めてくる。これだと人手をかけずに済むが、情報更新はリアルタイムというわけにはいかない。情報鮮度を最高レベルまで高めるもっとも確実な方法は、値決めをしている販売店が自ら最新の価格情報を入力することだ。
「やがて価格.comは、ユーザーにとっても、販売店さんにとっても、積極的に活用することで互いにメリットが生まれるプラットフォームとして順調に成長しはじめていました。残る課題は、運営側がどうやってサイトを継続運営していくか、です」
価格情報をリアルタイムに提供することで販売店とユーザーが喜ぶ仕組みはできた。しかし、事業継続のための収益をあげる仕組み作りは、決して容易ではなかったのだ。
■広告から会費へ、サイトを継続運営するための仕組み
「もちろん最初は誰からもお金なんてもらえません。勝手に価格を調べて、勝手にインターネットにアップしているわけです。ほんとになんて勝手なことしてくれるんだって怒られることはあっても、ほめられることなどなかったようです」
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FMO第27弾【株式会社カカクコム】
2009.09.29
2009.09.15
2009.09.08
2009.09.02