月間利用者数約1900万人、掲載アイテム数5000万。日本最大の購買支援サイト『価格.com』が好調だ。世界的不況の中でも利用者は増え続け、業績も安定している。創業以来、着実な成長を遂げ、ホテル予約、グルメ、マンションなどさまざまなジャンルへと進出する株式会社カカクコム。その事業の柱である『価格.com』成長の秘密に迫る。
「ただ当初はメーカーさんからも、相当に怒られたと聞いています。怒られながらも徹底的にこだわったのが、お客さまのためのデータベースを作ることなんです」
そのデータベースとは何だろうか。また、なぜ価格.comはデータベースにこだわったのだろうか。
■データベースが力の根源になる
「例えばパソコンだったら型番に始まって、CPUやハードディスク、メモリや液晶サイズといったさまざまなスペックデータがありますね。製品写真と合わせて、そうした細々した情報をデータベース化しておくことが重要なんです」
価格比較は緻密なデータベースがあって初めて可能となる。情報はどれだけあっても、決してユーザーのデメリットにはならない。検索可能性がアナログメディアとは比較にならないぐらい高いのがネットである。とはいえ、膨大な情報をいかに整理してみせるか。サイトデザインやユーザビリティが厳しく問われることになる。
「サイトの使いやすさ、わかりやすさをどう高めていくか。情報が増えれば増えるほど、わかりにくくなりがちです。どれだけすっきりと、かつ網羅的に情報を伝えることができるか。これはトライ&エラーの繰り返しでチューニングしていくしかありません」
価格.comでは専門チームが常時、アクセス履歴を徹底的に解析している。その分析結果をベースに、文字通り『毎日』サイトのどこかが必ず修正されている。修正結果はアクセスログを見てチェックし、さらに改善をかけるプロセスを回し続けているのだ。
「細かい話ですが、商品を説明するテキストの文言を少し変えるだけで、お客さまの反応が違ってきます。そうしたデータを蓄積してきたことも、我々の強みですね」
商品ごとに設置された掲示板が、さらに人を呼び寄せる。特定商品について書き込まれた情報は、その商品に関心を持っている人にとっては、価格以上に重要な情報となり得る。すでにその商品のユーザーとなっている人たちも、不具合を掲示板に書き込めば誰かが答えてくれる。
「SNSのコミュニティでなされているような情報交流を、我々はずっと以前からオープンな形でやってきました。これが評価されていることは間違いないでしょう」
そうしたすべての情報がたまっていく器、それがデータベースなのだ。器の情報を見たくて集まってくるのは、これからその商品を買おうかと考えているユーザー、すなわち販売店からすれば半ば顕在化した顧客である。一方すでにユーザーとなっている人たちは、販売店からすればやはりリピーターとなり得る人たちである。
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FMO第27弾【株式会社カカクコム】
2009.09.29
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2009.09.02