月間利用者数約1900万人、掲載アイテム数5000万。日本最大の購買支援サイト『価格.com』が好調だ。世界的不況の中でも利用者は増え続け、業績も安定している。創業以来、着実な成長を遂げ、ホテル予約、グルメ、マンションなどさまざまなジャンルへと進出する株式会社カカクコム。その事業の柱である『価格.com』成長の秘密に迫る。
「97年当時で掲示板に何かを書き込む人がどんな層かといえば、パソコンに詳しい人、マニアと言ってもよい人たちですね。そんな人が思わず書き込みたくなるような掲示板を作っていったそうです」
掲示板開設当時にどこまで意図的な狙いがあったのかはわからない。しかし、結果的にはマニア向けの掲示板こそが、今につながる価格.comの原動力になったことは間違いない。
「マニアすなわちイノベーターです。彼らは掲示板で非常に濃い情報を交換したり、パソコン初心者からの質問に対してていねいに答えてくれたりした。やがてあそこ、つまり価格.comに行けばパソコンのことは何でもわかるぞ、といった評判が広まっていったそうです。最初はリアルな世界で、続いてネット上でもクチコミが広がっていったのです。すると普通のパソコンユーザーはもちろん、まだパソコンを買っていない人たちまでが、情報を求めてサイトにやってくるようになったといいます」
最安価格情報と掲示板情報がキードライバーとなってアクセスが急増し始めた。ユーザーアクセスこそはネット時代の『神の見えざる手』である。やがて多くのユーザーが価格.comに掲載されている価格情報を参照してモノを買うようになった。価格.comの情報がリアルな店舗の売り上げに影響を与え始めたのだ。
「ところが価格調査と情報更新を一人でやっているわけです。とても手が回りきらない。そのため情報鮮度が落ち始めたらしく、これがクレームになったと聞いています」
サイトに掲載されている値段と実際に店頭で売られている価格が違うじゃないか。そんな指摘がユーザーから入るようになった。もちろん、これは問題だ。同時に販売店サイドからも同じような話が持ち込まれた。ただしこれはクレームではなく、要望としてである。
「販売店さんはどこも、価格にはものすごく気を遣っているわけです。何しろ他所よりも少しでも安い値付けが、集客につながるのですから。そのお客さまが何を参考にしているかといえば価格.com。そこで間違った情報が掲載されていると、お店としては困るわけです」
誰かが困っていることは必ずビジネスの種になる。価格情報に対するクレームは、価格.comにそれまで思いもよらなかった機能を実装させるきっかけとなった。
⇒次回「価格.com、収益化までの意外なプロセス」へ続く(全四回)
『株式会社カカクコム 関連リンク』
株式会社カカクコム:http://corporate.kakaku.com/
・購買支援サイト「価格.com」:http://kakaku.com/
・高級ホテル・旅館の予約サイト「yoyaQ.com」:http://yoyaq.com/
・ランキングとクチコミのグルメサイト「食べログ」:http://tabelog.com/
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FMO第27弾【株式会社カカクコム】
2009.09.29
2009.09.15
2009.09.08
2009.09.02