~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 南太平洋のパプアニューギニア島の過酷なプロジェクトに見た日揮のサービス品質の高さとそれを支える現場力とは?
◆発注先であるBPの現場責任者が、「多くのプラント会社と仕事を
してきたが、これほど仕事への忠誠心や使命感がずばぬけた会社は
見たことがない」とのコメントを残したそうです。
◆この事例に触れて、先述しました6つのサービス品質の軸を考え
てみますと、この建設現場では、正確性、迅速性、安心感、柔軟性、
好印象、共感性の6つの軸の全てを満足していると言えるかと思い
ます。
◆特に、プラント建設における生命線ともいえる納期の正確性に対
しては、現場が、共感性を発揮して顧客の心配を把握し、現場の迅
速かつ柔軟な判断と行動力で、正確な納期を死守したのでした。そ
の結果、日揮に任せておけば大丈夫だという顧客からの絶大な安心
感と好印象を獲得したのでした。
◆この高いサービス品質を発揮した現場力には、ある日揮の企業風
土の存在があります。 それは、「権限委譲」と「教育」でありま
す。 バルブ事件の時も、いちいち日本の御本社様にお伺いを立てて
いる時間はありません。 現場が常に全権をもって決断するという風
土が日揮にはあるといえます。
◆それと、この現場には日揮からの延べ100人の駐在員のうち、20名
もの新入社員が派遣されていました。 その新人は、暴動にもひるま
ない先輩社員の姿勢を決して忘れることなく、日揮の現場力のDNAと
して引き継いでいくことでしょう。
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■■ 本日の学び ■■
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高いサービス品質を得るためには、現場への権限委譲と教育が不
可欠だ。 特に、生産と消費が同時に行われるサービスでは、権限
委譲なくして迅速で柔軟な対応は出来ない。 また、現場に権限委
譲をするためは、十分な教育を行い、ビジョンを共有し、任せても
安心できる現場を構築しなければならない。
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■■ 感想 ■■
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日揮のパプアの現場の事例を見て筆者自身の体験を思い出しまし
た。 商社の駐在員としてアフリカに駐在中、飲料水が欠乏してい
るある村で飲料水用井戸掘りプロジェクトを実行していました。
メッチャ怖そうな村長さん始め村人全員が水が出るのを切実に今か
今かと待っていましたが、何日掘っても水が出ない。 その内村人
のイライラは最高潮に達してきました。 再調査の結果何と元々水
源がないことがわかり、今さら水でませんと村人に言う勇気もでず、
東京本社に内緒で、機材メーカーの技術者と機材を夜半こっそり撤
収し、トラックで夜逃げを敢行したことを思い出しました。 日揮
の現場力がプラスの現場力なら、筆者の体験はマイナスの現場力で
すね。
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