任天堂の岩田聡社長と宮本茂専務は4月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。ビデオゲーム市場動向や海外でのニンテンドー DSiの販売状況、『Wii Sports Resort』の発売日や京都文化博物館で実施されるニンテンドーDSを利用したガイドサービスについても言及。会見の内容を詳細にお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
――逆にDSが通話機能を加えて、携帯電話の直接の競争相手になることはあるのでしょうか?
岩田 「DSが携帯電話になる可能性」という意味で語ると、DSは娯楽のために作りましたから、娯楽のためのプロダクトが「毎月お金を払う」という構造になると、「今のお客さんの何割がそれを受け入れてくれるのか」という課題があります。このことを聞かれると私はいつも、「お客さんが毎月お金を払わなくてもいいビジネスモデルが発明できたら電話と一体化したいな」と言っています。
――Wiiはビデオゲームのハードの常識を変えてしまいましたが、今後のビデオゲームの機械やゲームのプレイスタイルはどのようになるというビジョンをお持ちでしょうか?
岩田 今日の時点で「次の機械はこうします」と喋ると、競争上大変好ましくないんですね。昔以上に「任天堂が次に何をするか」を注目していただけるようになったので、余計にそうです。
ただ、「過去にゲーム機が5年~6年サイクルで世代交代をしてきたので、次も必ず5~6年サイクルだ」という考え方が割と支配的なのですが、私は今回必ずしもそう思っていません。任天堂は、例えば宮本が「もうこの機械ではやることは全部やり尽くしたので、新しいネタがないと新しい驚きを作り出すことは難しい」と言う時代がいつか来るので、その時のために新しいハードを研究しているという構造だと考えていただいた方がいいです。いろんな技術が成熟してきたので、「コンピュータグラフィックスの性能が上がるから、5年~6年サイクルで新しい機械(に世代交代)だ」という時代はもう終わったのではないかというのが私の認識です。
もちろん、ハードのチームは「次はどうしよう」と考えているし、開発しています。しかし、テクノロジードリブンの会社(テクノロジーがリードする会社)のように、「最初にロードマップ(大まかなスケジュール)を描いて、それから作る」というスタイルでは任天堂はありません。あくまで、「ソフト(を作る側)にとって意義があるハードの新しさって何なの?」ということで考えています。そういう意味で、「次(のハード)はこうするんです」という話には今もう決まっていることと、それから間際にならないと決まらないことがいろいろあったりするのです。
ビデオゲームが持っているノウハウとは
――DSというハードの多様化についてうかがわせてください。生活シーンのなかにDSを持ち込もうとすると、iPodのようにユーザーに合わせたハードの形が必要になってくるのではないでしょうか? また見た目だけではなく、例えば「ゲームができないDS」といったものの可能性があるかということも合わせてうかがえればと思います。
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DSで生活が便利に!任天堂社長と専務がゲーム機の今と未来を語る
2009.05.07
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