任天堂の岩田聡社長と宮本茂専務は4月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。ビデオゲーム市場動向や海外でのニンテンドー DSiの販売状況、『Wii Sports Resort』の発売日や京都文化博物館で実施されるニンテンドーDSを利用したガイドサービスについても言及。会見の内容を詳細にお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
携帯電話はライバルか
――DSにとって携帯電話が大きな競争相手であるように感じますが、それに対してどのようなポジションを取っているのでしょうか?
岩田 「『携帯電話が脅威である』という話を、これで何回言われたかな」という感じがします。日本でiモードが立ち上がったころに、「ゲームボーイは携帯電話に飲み込まれる」とよく言われました。あるいは、Nokiaさんが携帯ゲームビジネスに乗り出した時、やはり同じように「ゲームボーイアドバンスは携帯電話に飲み込まれるだろう」と言われました。その時に「携帯電話が携帯型ゲーム機を飲み込む」と言っていた人は、今どう責任を取っているのかちょっと聞きたいくらいです。
しかし、今回も同じことの繰り返しかというと、「それだけで片付けない方がいいかな」とは私は思っています。あの当時とは携帯電話の技術も違うし、その上で表現できるゲームも変わってきましたからね。もし私たちが現状に満足して、「もうこれ以上イノベーションは必要ない」と考えて、このまま同じような商品を作り続けていたら、いつか携帯電話のビデオゲームにDSは飲み込まれてしまうかもしれません。
ただ、我々は立ち止まるつもりはありません。もし我々がゲームボーイアドバンスに満足して、ゲームボーイアドバンスだけをやり続けていてDSを作っていなかったら、きっと今頃、携帯型のビデオゲームのビジネスはこんなに大きくなっていなかったでしょう。
あえて言えば、「携帯電話にできないことを、我々は次々と提案できるかどうか」。(それが)できたら携帯電話は脅威にならないし、携帯電話にできそうなことしか我々ができなかったら、携帯電話がみんなにとって必ず持たなければいけないデバイスにどんどんなっていくわけですから、(DSは)影響を受けるかもしれない。そう僕らは考えています。
宮本 皆さん、「アーキテクチャ(※1)」という言葉はご存じですよね。携帯電話というのはアーキテクチャではありません。携帯電話といういろんなものの総称です。DSというのは世界で1つのフォーマットで、単一商品です。
(※1)アーキテクチャ……ハードウェア、OS、ネットワーク、アプリケーションソフトなどの基本設計や設計思想のこと。
さっきお話したように、「サービスをする人が、いかにデータを簡単に作れるか。よりたくさんの人にサービスができるか」は非常に大事なポイントです。 DS用にサービスを作る人は1つのプログラムを作るだけでいいですが、携帯電話用にサービスを作る人は何十のプログラムを作らないといけない。この点が我々のハードウェアが世の中で一番アドバンテージがあることだと思っています。
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