料理の道理=仕事の道理

2007.07.26

仕事術

料理の道理=仕事の道理

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、京都嵐山の老舗料亭「吉兆」の総料理長、 徳岡邦夫氏の講演を聴く機会がありました。 こぶ平さん(現九代目林家正蔵師匠)にちょい似の、 親しみやすい風貌の徳岡氏は、近年マスコミに 頻繁に登場されてますね。

さて、今日は、徳岡氏の講演で聴いたさまざまなお話の中で、

「仕事全般に通じる普遍的なことだなあ」

と思った話をご紹介したいと思います。

徳岡氏によれば、昔、北大路魯山人は、
全国の一流の料理人を集めた「美食クラブ」のようなものを
作ろうとしたことがあったそうです。

そこで、魯山人は、新聞広告を出して、
「自分こそは最高の料理人だ」と思う人を募集しました。

そして、応募してきた料理人には、魯山人自ら面接を行い、

「君はいったい何が好きかね?」

という質問をしたそうです。

この質問に対して、応募者が、
たとえば「釣り」とか「囲碁」とか、
料理以外のことを答えた場合は不合格としました。

「好きなことは料理です」と答えられない料理人は、
「意識が低い」と魯山人は考えていたんですね。

徳岡氏は、仮にこの求人に自分が応募したとして、
魯山人との面接で上記の質問をされた時になんと答えるか、
考えてみたそうです。

単に、

「魚」や「肉」

と答えるだけでは不十分だろう。

「魚」といっても、さまざまな種類がある。
季節によって味が変わる。

頭、胴、尾っぽ、ぜんぶ魚だ。
部位によって味も違う。

また、焼く、煮る、蒸す・・・
料理法でも味が変わってくる。

徳岡氏はこんなことを考えているうちに、

「料理の道理」

という本質に到達します。

「料理の道理」とは、

「結果的にどんな料理を作りたいか」

というイメージ(理想像)を実現するために、
どんな素材のどの部位を選び、どんな料理技術を
使うべきかということです。

これは、いわば料理における

「因果関係」(原因と結果の関係性・ロジック)

と言えるでしょう。

また、料理の先には、それを食べてもらうお客さんが
いますから、彼らが喜んでもらえる料理を作ることが
究極の目的です。

つまり、究極の目的を達成するために
将来のイメージ(理想像)を構想し、
それを確実に具現化できる能力を備えているのが

「一流の料理人」

ということ。

これは、料理に限らず、
あらゆる分野の仕事に当てはまることですよね。

すなわち、

「仕事の道理」

をわかることが、プロフェッショナルの必要条件です。

なお、上記の話も含まれていますが、
徳岡氏の講演レポートが下記にアップされています。

*夕学五十講 受講生レポート 徳岡邦夫氏

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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