ロジック記述トレーニング:まともなロジカルシンキングとは?

2008.11.30

仕事術

ロジック記述トレーニング:まともなロジカルシンキングとは?

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

一時期ロジカルシンキングの研修が流行しました。書籍もすごく売れましたね。今は仕事術がブームに取って代わられた感もあります。ただ、ロジカルシンキングの一番のポイントは一体何なのでしょうか?

 ロジカルというのは、人に伝えられる、人とシェアできるというのが大きなポイントです。一定の記述ルールというか、共通言語があります。

 1人が言ったことに対して、反論ができます。いや、それは違うのでは?という主張ができます。この部分がこう違うのでは?と言えますね。

 そういう共通ルールを守った上での議論をしながら、物事を決めると何人もの知恵を結集できます。デモクラシー、民主主義というのは、こういうことが意味がある、という主張をはらんでいる側面もありますよね?

 経営は小さいうちは独裁的にやるほうがいいとは言われますが、ある程度大きくなってくると、「なぜ、どうしてこういったことをするのか?」ということがある程度オープンにシェアされ、議論の対象とすることで、組織として意思決定能力が上がる、という効果が有り得ますね。

 そして、個人の範囲内に区切ったとしても、個人の中で過去のケースとの比較が可能になります。個人として意思決定精度を上げていくこともできる。

 だから、ロジカルシンキングというのも、学べば使えるものなんですよ、というところをまず説明して、腑に落ちる感覚を味わってもらってからでないと、トレーニングを施しても、あんまり意味がありませんね。

 できる人は無意識的にやっている側面も大きいので、トレーニングをしなくてもなんとなくできていることもあります。いわゆる出来るやつは勝手に育つ系の主張をされる方の根拠となりえます。

 ただ、できない人でもコツコツ積み上げることができるのが技術体系の素晴らしいところですね。

 すごく弱かった少年が、コツコツ空手の稽古を積んで強くなる、そういうこともありますよね。私はこういったところにトレーニング、教育の意味を見出しています。

 こういう前提を一切シェアせずに、いきなりMECEやロジックツリーの解説をし始めても、無駄ですよね・・・。

 そして、本当に鍛えられたロジックというのは勘を研ぎ澄ますためにも必要なものだと思います。

 ロジックよりも勘が大事とか、勘なんて駄目、ロジックが大事という認識の方がいる場合には、ロジカルシンキングとクリエイティブの相互依存的側面についてお話しをしないと、これまた成果が上がらないトレーニングになります。

 が、ちょっと長くなってきたので、理性と感性、ロジックとクリエイティビティのお話しはまた別の機会に致します。というか、トレーニングと題して、トレーニングのための問いを置かなかったので宿題にします。お時間のある方は、ロジックとクリエイティビティの関係性について、紙に書いておいて下さい。

 頑張って、1週間後ぐらいに解説を書こうと思います。

 それでは次回をお楽しみに。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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