「週刊現代」の八百長疑惑を報じた記事を巡る 「大相撲八百長訴訟」 の弁論(08/10/03)において、 講談社側の証人として出廷した元小結の板井圭介氏は、 次のように証言しています。
約100万円の月給がゼロになります。
しかし、受取山の場合は、
勝ち越しているので、この一番に負けても、
それによって被る損失は、勝った場合に得られる勝ち点分
(1円分、実質1場所当たり4000円の力士褒賞金)だけです。
そこで、もし両者のリスク(勝敗率)評価や実力、交渉力が
ほぼ同じだと仮定すれば、この一番における渡川の勝ち星の
取引額はおよそ
25万円
当たりになるだろうと同書では推定しています。
「星の交換」による八百長の場合も、
基本的な成立条件は同じです。
つまり、
八百長の利得がガチンコの利得を上回る場合
に、八百長を行うインセンティブ、メリットが生まれてきます。
逆に、八百長が成立しにくい状況としては、
次のような点が挙げられます。
ひとつは、両者の実力が離れている場合です。
先ほどの例で言えば、渡川が受取山よりも圧倒的に強いと
わかっていれば、ガチンコでも勝てる可能性が高いわけですから、
渡川としては、金銭を渡してまで勝ちを確実にしようとは
思わないでしょう。
もう一つは、両者の現在の一番の重要度が近い場合です。
同じく先ほどの例で言えば、
受取山も、渡川と同様に十両最下位にいて7勝7敗、
千秋楽で負ければ幕下転落の崖っぷちにいるということであれば、
渡川も受取山もどちらも絶対に負けたくない状況です。
この場合、まずガチンコ勝負しかありえませんね。
相撲協会では、八百長を防ぐことを狙いとして、
一番の取組の重要性がほぼ同じ力士同士の取組を増やしています。
千秋楽で、共に7勝7敗の取組が多いのは、
八百長をしたくなるインセンティブを低下させるためなのです。
また、幕内力士と十両力士、
および、十両力士と幕下力士の対戦が多く組まれます。
下位に陥落して給料を減らしたくない力士と、
上位に這い上がって給料を増やしたい力士の対戦であれば、
お互いの損得の和が近いため、八百長をすることによる
純利益がほとんど発生しません。
ですから、やはり八百長をするインセンティブが低くなります。
なお、八百長が起きないようにするためには、
実力がかけ離れた力士同士を組ませるという方法もあります。
ガチンコ勝負でも、
どちらが勝つかお互いほぼわかっているため、
八百長する必要がないからです。
しかし、観客にとっては、
勝ち負けが明白な一番はまったく面白くありません。
(こんな取組ばかりだとファン離れが起きるでしょうね)
どっちが勝つかわからない実力伯仲の力士同士が
闘うからこそ面白いわけです。
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。