さて今回から、 『大相撲の経済学』 の内容を私なりに咀嚼した上でご紹介していきます。
まずは、大枠を押えましょう!
すなわち、
「大相撲界ってどんなところなのか」
ということです。
ひとことで言えば、大相撲界とは、
「大相撲会社(グループ)」
とでも形容できる、
一般企業に似た大きなひとつの組織なのです。
なぜ、
「会社組織」
に類似していると言えるのでしょうか?
まず、力士を始め、各部屋の親方、行司、床山、世話人、
また日本相撲協会の理事、監事、役員など、関係者全員が
「日本相撲協会」
の構成員として属していることがひとつ。
次に、「番付」や「取組」は、
全て日本相撲協会の運営を行う
「年寄」
たちによって決められる点があります。
(「年寄」とは、相応の功績のあった力士が、
現役引退後に取得できるポジション)
『大相撲の経済学』によれば、
「年寄」たちは‘(トップレベルの)管理者’
であり、
現役の力士たちは‘(一般)社員’
にあてはめると納得がいくと書いてあります。
(カッコ部分は松尾補記)
力士たちにとって、「番付」とは、
一般の会社が行う「人事」と等しいものです。
すべての番付は、
審判部に属する親方を中心に構成される
「番付編成会議」
によって決められ、
力士は人事に口をはさむことはできません。
(一般企業でも、基本的に「人事」に社員が
異を唱えるのは難しいですよね)
また、各場所において、
どの力士とどの力士が対戦するかという、
「取組」
は、会社側が力士に下す「業務命令」と
みなせますね。
なお、力士、行司、床山など「(一般)社員」たちは、
日本相撲協会の構成員であると同時に、どこかの相撲部屋に
それぞれ所属しています。
そして、各相撲部屋に対しては、
弟子の数や弟子の活躍に応じて下記のような補助金、
・部屋維持費
・稽古場経費
・力士養成費
が日本相撲協会から支給されています。
先ほど、「大相撲会社(グループ)」と書きましたが、
日本相撲協会がいわば全体を束ねる
「持ち株会社」
のような形で存在しており、
各相撲部屋は、相撲協会からの出資を受けながら、
それぞれの部屋を運営している
「子会社」
のようなものだからです。
つまり、全体としては同じ「相撲事業」に関わっている
会社グループだとみなせるわけです。
さて、力士に払われる給与(基本給)ですが、
横綱、大関、関脇・小結など番付=職階に応じて
決まっています。
明快な賃金テーブルがあるわけです。
つまり、大相撲界では、
プロ野球やJリーグのように、
各スポーツ選手と球団側との個別交渉に基づく
契約ベースの報酬ではないのです。
次のページ「大相撲会社(グループ)」
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大相撲の経済学
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。