BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
「そうか・・・。来ていないのか・・・。そろそろ社屋も建て替えが必要かとは思っていたが、こんなことになるとはなぁ・・・。」
ほとんどのガラスが破れたビルを見上げて、社長は呆然と立ち尽くしていた。
「Aくん。このまま復旧まで指揮を執ってくれないか。」
「安否の確認が取れた社員で家族と一緒にいるものは、出社には及ばず。単身者は、一度会社に顔を出すように伝えてくれ。もちろん携帯電話が繋がってからでな。」
「社長、分かりました。あちらのテントが安全ですので、座っていてください。全体は私が、サポートにシステム部のDさん、現場の統括は寮にいる社員をまとめているEさんで対応します。」
時刻は昼近くになり、十数名の社員が会社に到着。
「みなさん、自分の名前と携帯番号、メールアドレス、自宅から近い指定避難所をこの紙に書いて下さい。あと、携帯電話は社用車のソケットにつないだ充電器で充電をフルにしてから、家族のある方は帰宅頂いて結構です。」
「携帯電話へは、メールで連絡します。何かあった時は、私の携帯メールアドレスへ連絡して下さい。」
このとき、Aさんは携帯各社の災害伝言板サービスへの登録を全社員へ徹底していなかったことに悔やんだ。
まぁ、俺の携帯から災害伝言板に書き込めれば、東京支店のあいつにメールが飛ぶからそれで他の支店へは連絡できるし、仕方ないか。
「携帯が復旧したようです!」とEさんが叫んでいた。
「メールだけですが、親からのメールが入りました。」というEさんの声に反応して、社員が一斉に携帯電話を取り出した。
「社長。メールで役員の方々に連絡して頂けますか? 私は部長に。あと災害伝言板から東京支店を介して、他の支店に連絡してもらいます。」
過去2回だけ訓練した「緊急連絡網」がどこまで活きるか分からないけれども、まずは社長を起点とした連絡を始めた。
そのとき。
「メール? 息子からだ。」
メールを開くと
『 ケンイチだよ。お父さん頑張って。お母さんとケンジと叔父さん叔母さんとケンジの小学校にいます。』
ここまでくれば、あとは残りの社員の安否を確認するだけか。
緊急連絡網の回答待ちだな・・・。
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