成果主義の終焉。その後

 産業界で成果主義を見直す動きが広がっています。成果主義に替わる新しい人事考査制度を考えてみましょう。

 社員に責任を引き受けてもらう。その代償として支払うのが給料です。給料を支払う代償として、責任を負わせるのは順番が逆です。

 私は責任を引き受けてくれない人に給料を支払う必要はないと思います。

 こんなことを言うと、団塊世代の大量退職と少子化の時代に、そんなことを言ったら人材を確保できない。単なる理想論だと思われるかもしれません。

 しかし、無責任な人を大量に集めても企業の発展は望めません。企業の発展のためには、責任を引き受ける人が集めるか、若しくは、無責任だった人を責任を引き受けてくれる人に変えるかです。

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 成果主義の見直しを考える際には、人件費抑制の結果として招いた社員のレベル低下とそれに伴う企業の信用失墜のツケを払う「企業の覚悟」が必要だと思います。企業の「寛容さ」が求められています。

 社員に責任を引き受けてもらうためには、社員に自由が与えることが必須条件となります。

 社員が掌中にある選択や裁量などの自由を行使できるエンパワーメント(権限委譲)によって、社員は自分の責任を納得して受け入れるようになります。

 社員の納得があれば、前述の3つの要素(客観性/具体性/公正性)の欠落を補うことができます。社員の納得は、不可能ともいえる他人が他人を評価する人事考査を導入する際に不可欠です。

 社員に納得してもらうためのエンパワーメントの前提は、企業の「寛容さ」に他なりません。

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 日産自動車は、5月に発表した新たな5カ年計画(08~12年度)に利益や販売台数などのコミットメント(必達目標)を盛り込みませんでした。同社のカルロス・ゴーン社長はV字回復の象徴といえるコミットメント経営を修正する考えを明らかにしています。

 成果主義が失敗だったからといって、再び年功序列に戻るとは思えません。社員の士気を重視した次世代の「成果主義2.0」時代の到来は意外と近いかもしれません。

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