企業の3大経営資源といわれるヒト・モノ・カネの中で、ヒトだけは現実の会計処理では費用(コスト)として扱われます。 もし、ヒトが費用ではなく資産(資源)だったら・・・
今回は「社員は財産」を会計学的に考察します。深刻な雇用環境の続く中で、そんな現実離れした理想論に付き合う余裕なんてないかもしれませんが、理屈は脇に置いて、現実にはあり得ないSF的世界観を感じて欲しいと思います。
人をモノ扱いする論調を不快に思う人もいるかもしれませんが、柔軟な思考でお付き合いください。「社員は財産」と説く真意が見えてくるかもしれません。
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さて、社員が財産になると、今まで損益計算書(P/L)に計上していた人件費を貸借対照表(B/S)に計上することになります。さらに、B/S上のどこに計上するかというと・・・
さしあたり、雇用期間が1年以下なら流動資産。それを超える場合は固定資産に分けるのが適当でしょう。1年以下の短期雇用の非正規社員が流動資産で、正規社員は固定資産となります。非正規と正規の違いに関係なく、社員は資産となります。
この流動資産と固定資産の違いは雇用期間が長いか短いかの違いであって、流動資産と固定資産の違いだけで評価算定方法が異なることはありません。
しかし、だからといって、全員を同じ評価にするが正しいとはいえません。どんな人でも一律の評価にしてしまうと、「一生懸命やってもやらなくても同じ」といった風潮が職場に広がり、進歩や改善といった前向きな意志が失われることになります。
10の仕事ができる人と7の仕事しかできない人の評価が違うのが公平は評価です。10の仕事ができる人と7の仕事しかできない人が同じ評価だったら、それは不公平な評価です。
また、評価の違いは、あくまでも個人の能力の違いに基づくものでなければ社員の中に不満が生じることになります。同じ能力を持っているのに長期雇用と短期雇用の違いだけで評価に差がつくとしたら、それを合理的に説明することは困難です。
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たとえば、10万円のパソコンを買ったとしたら、そのパソコンの「価値」は10万円でしょうか。現金で10万円支払ったのなら、「評価」は10万円に間違いありません。ここで考えてもらいたいのは「評価」ではなく「価値」です。
便利そうだから買ってみたけど使い方がわからず埃をかぶっているようなら価値はゼロです。反対に、インターネットでブログ公開、スケジュール管理からプレゼン資料作成など一日中重宝に使っているとしたら価値は15万円以上かもしれません。「評価」は同じであっても使い方によって「価値」はまったく違うものになります。
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