パートナー、共演者、上司、監督、スポンサーとしてのお客様について引き続き考えてみたい。
企業競争の最終形と考えられる顧客の潜在的欲求を顕在的欲求に変える競争において、顧客の目的(便益)への適合、顧客の経験・学習・価値観などを大きく外さない製品・サービスの基本形の提供、そして、顧客にとってのコスト効率の実現(顧客にとっての『安さ』の提供)、また、潜在的な欲求を持つ顧客の期待に適切に応えることが重要である。その次のステップで重要なコミュニケーションについて考えてみたい。
コミュニケーションにおいて重要なのは次の3点である。
■何を伝えるか?
■誰に伝えるか?
■どのように伝えるか?
これまでの話は製品の企画・開発・製造段階の話しである。それはコミュニケーションにおいて、「何を伝えるのか」を明確にする過程のものだった。「目的」、「基本形」、「期待」を明確にして、適切に充足することによって「何を伝えるか?」は決まる。「なぜ伝えるか?」も重要であるが、製品・サービスの目的やコンセプト、あるいは、その原泉である顧客ニーズと合わせて考えられる。
また「誰に伝えるか?」が重要である。これは「何を伝えるか?」とも密接に関わるが、単純化すれば、コミュニケーションの対象者が誰かだけが問題になる。
具体的には、無農薬で栽培された有機野菜を誰に販売するかということである。「空腹を満たすこと」を目的とする顧客と「安全で安心出来る食べ物で空腹を満たすこと」を目的とする顧客と「美味しくて、安全で安心出来る食べ物で空腹を満たすこと」を目的とする顧客であれば、2番目の「安全で安心出来る食べ物で空腹を満たすこと」を目的とする顧客が一番良い対象になるであろう。
有機野菜は美味しいという反論もあるだろう。価値観や雰囲気の問題でもある。世の中の大半の人々は美味しいか美味しくないかの判断において、無農薬かどうかという理性的な基準を(まだ)持っていないだろう。
「空腹を満たすこと」だけが目的の顧客に対して健康に良い有機野菜を売るのは適切ではない。どんなに優秀なセールスであっても、どんなに素晴らしい広告やキャッチコピーがあっても、適切な対象以外の顧客の注意をひくことは難しい。不可能ではないが、効率が悪い。「空腹を満たすこと」が目的の顧客に対してセールスは粘り強く説明しなければならないだろう。場合によっては利益を大幅に削った値引きが必要になるだろう。原価を割るほど安くしても価値は認められ難いだろう。必要とする人には1度で理解される広告を、数回か見てもらわなければ受け入れられないだろう。
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