顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【1】

2008.06.04

仕事術

顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【1】

猪熊 篤史

パートナー、共演者、上司、監督、スポンサーとしてのお客様について考えてみたい。

ビジネスはお客様なしでは成り立たない。お客様がお金を支払って初めて売上が上がる。売上が上がってはじめて、必要な費用、つまり、原材料費や商品の仕入原価、社員の給料、オフィスの家賃、広告費などを支払うことが出来る。

アルバイトからの出世、商店から大流通チェーンへの成長、町工場から国際企業への発展などの成功物語も、結局のところ、お客様の評価を受けてこその成功である。職場の上司も「お客様」だと考えられるだろう。上司にだけ受けが良いのは問題だが、上司の評価が高ければ、お客様の評価も高いことだろう。

どんな時にお客様の評価が高まるのだろうか?それは、製品・サービスが深い意味で『安い』からである。

『安い』というのは値段だけの問題ではない。値段が手頃であることも重要な評価の要素となるが、『安い』というのは、お客様が自ら生産、あるいは、サービス提供するよりも効率が良いということである。

例えば、お客様自身が作ると10時間かかる製品を5時間で作れるということである。また、お客様が自ら仕入れると1万円する商品を5,000円で仕入れて、1万円よりも安い価格で販売することが出来るこということである。あるいは、お客様が作ると見た目が悪く機能も不完全だが、見た目も機能も良いものを作れるということである。

競争の視点も必要である。いくら5時間で製品を作れても、他に2時間や3時間で製品を作れる人がいれば製品は決して『安く』ない。5,000円で商品を仕入れられても、他に2,000円や3,000円で仕入れることが出来る人がいれば、商品は『安く』なり難い。また、作った製品が美しくても、他にもっと美しい製品を作れる人がいれば製品は『安く』ないことになる。

お客様に対してより効率的なものを提供しなければならない。しかも、競合他社と比べて効率的でなければならない。

お客様は効率性を好むが、現実はそれほど単純なモデルでは表せないようである。

顧客ニーズから生まれる欲求には2種類の欲求がある。「顕在的な欲求」と「潜在的な欲求」である。

顕在的な欲求とは、経験や学習によってお客様自身が知っている具体的な製品・サービスに対する欲求である。

潜在的な欲求とは、お客様自身が認識していない製品・サービスに対する欲求である。潜在的欲求の対象となるモノはお客様の頭の中にない。

お客様の顕在的な欲求を満たすことで対価を得ることが出来る。直接的な金銭のやり取りがなくても、相手の不足を埋めたり、補うことによって付加価値を生み出し、恩恵を享受することが出来る。

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