世界を変える会社の作り方~1~

2008.06.04

経営・マネジメント

世界を変える会社の作り方~1~

山口 揚平

~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~  会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。  私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。

 “渡りに船”とはこのこと。ホントに必死に調べました。だって、2か月ぐらいまったく仕事がなかったのですから。

 当時は、自由になるお金はありませんでした。ですが自腹でリサーチセンターに行き、コピーをとったり、調査をしたり。分析能力なんてないから、ただ調べることくらいしかできませんでした。3日間、ほぼ徹夜で調べ上げてファイル10冊。400個ぐらいラベルを貼り、要約したペーパーをパートナーの机に置いておきました。

 パートナーはファイルの存在に気付いて、「あ~、ありがとう」と声を掛けてくださいました。でも、後でわかったことなのですが、パートナーにとって「調べてほしい」なんて話はものすごく小さなこと。トップのパートナーだったら、1日に10回ぐらいスタッフに言うようなセリフだったのです。たぶん、彼は私が調べた10冊のファイルに目を通してないんじゃないかな。まだ、あの事務所の倉庫にしまわれていると思います(笑)。

「知りたいのは情報じゃない! 考えろ!」

 そんなこんなの日々を送っていたところで、ようやくチャンスが巡ってきます。全国の自治体の制度に関するリサーチでした。もうひとりの同期と組んで、私は北海道の小樽市から、同期は沖縄の宜野湾市から、かたっぱしから電話して調べ上げました。そこでのリサーチ結果が認められ、初めて仕事を任されることになります。それがキャリアを変えるM&Aの案件の入り口でした。 

 ある米国の自動車会社の金融子会社が、日本企業を買収するという案件。いよいよM&Aどっぷりの人生がスタートします。

 その企業に関する情報をあらゆる部署を回って調べ上げ、作成したファイルは20冊ぐらいにもなりました。積み上げると自分の背丈ほどありました。自分ではよくできたほうだと思っていました。が、外国人もパートナーも口をそろえてこう言うのです。

 「これは使えない。こんなものを読むわけがないだろう!」と。

 とてもショックでした。外国人の方は、典型的なアメリカ人で、ものすごく太っているくせに、いつもピザを食べながらダイエットコークをガブ飲みしていました。毎日11時ぐらいに「どうだ?」なんて重役出勤してくるだけでなく、電源コードひっかけて、私のパソコンをひっくり返したりして、ものすごく腹立たしいことが山ほどあったんですね。でもクライアントだし、英語もしゃべれないし、文句を言いたくても言えなかった。

次のページトントン拍子でM&A時代を謳歌

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