~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~ 会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。 私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。
3章 起業――3つの大きな失敗
会社を設立したものの…
話を私の起業ヒストリーに戻します。
2002年ぐらいから少しずつ違和感を覚え始めていた話はすでにしました。そのころからブログを書き始め、何か自分でできないかと模索し始め、2005年4月に本を出版しました。「なぜか日本人が知らなかった新しい株の本」(ランダムハウス講談社)という書名で、2005年のベストセラーにもなりました。
そして、「知の流通ファーム」という構想を元に、2006年1月、ブルー・マーリン・パートナーズを設立します。
設立したといっても、体調は芳しくなく、当初は週3~4日働けばいいほうでした。それでも、セミナーを実施し、DVDを販売し、バリューマトリクス(企業価値評価ツール)をリリースすることできました。しかしそれほど成功していたわけではありません。生活はなんとかなっても、会社のお金はどんどん減ってゆく。2年間は何も上手くいかなかったな、というのが正直な感想です。
では、何をどう失敗してきたのか。例を挙げれば数知れないのですが、大きくわけると3つあります。
一つめの失敗は、なんでもかんでも自分でやろうとしたことです。経理も総務も営業もなんでも。よく考えると、どれも私の得意分野ではありませんでした。その事実を素直に認め、手放すことができなかったので、いつもバタバタしていました。
ビジネスで肝要なのは“外部化”がいかにできるかだと思います。しかし「手放す」ことはとても勇気のいる心的作業であり、経験と失敗に基づく気づきの連続による、人間的な成熟が必要です。
二つめの失敗は“人”でした。前の会社時代の同期や大学時代の後輩がいろいろと助けてくれたものの、何人かは去っていきました。余裕のない中、ストレスを抱えながら仲間とビジネスをやってもうまくいきません。自分の夢ばかり追いかけて、人の気持ちを考えていなかったのが敗因です。また、哲学・真理の追求ではなく、他者・人間・現実に焦点を当てて日々を送るようにしたほうが結果的にうまくいく気がします。
三つめの失敗は、商品(バリューマトリクス)を証券会社に提供するまでに時間がかかったことです。これは致命的でした。商品力ではなく、“動機”が招いた販売力の失敗です。
最大の敗因はプライドとエゴ
失敗から学んだ“外部化”、“人”、“動機”の大切さについては後述するとして、そもそも幾多の失敗の根源は何だったのかについてお話します。
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