利益: 顧客満足と幸福の尺度

2008.05.31

仕事術

利益: 顧客満足と幸福の尺度

猪熊 篤史

顧客満足や社会における幸福の尺度として「利益」について考えてみたい。

全体的な経済規模が拡大している限り一部の先行投資(相応の負債の増加)は容認されるのかも知れない。しかし、経済が拡大しない中で、赤字だけが拡大するのは問題である。短期的な視点だけで政策が決められるものではないが、中長期的な展望において収支が均衡しない事業や活動は整理される必要があるだろう。組織として淘汰されてしまうのか、組織再編や経営者の交代によって状況が改善するのかは様々なケースがあるだろう。

赤字は基本的に『悪』である。短期的な利益のみを追い求めてはいけないが中長期的な利益を確保できなければならない。利益が企業の存在意義を示し、顧客満足や顧客にとっての価値を表し、資本主義社会における幸福の源泉、あるいは、成長の機会や原動力となる。

短期的な利益のみを追求すると周囲と良好な関係を保つことが困難となり、中長期的な利益を損なうことがある。

どんな経営スタンスが良いのだろうか?

・中長期的なビジョンを持ちながらも短期的な利益を確保する。

・短期的な利益をある程度犠牲にして中長期的な利益を追及する。

・短期的な利益を確保する部門と中長期的な利益を追及する部門を分ける。

様々なスタンスがあるだろう。しかし、利益を上げること、つまり、顧客に役立ち、価値を提供し、その対価として報酬を受ける活動を怠ってはいけない。また、最大の利益をもたらす活動に資源を集中する必要もある。そのような活動は中長期的な視点によって選択されなければならない。中長期的な利益の最大化、企業の持続成長は重大な経営テーマである。

初期の先行投資、一部の費用負担、一時期の赤字が無駄なように見えて中長期的な企業の存続、経営の安定、企業として社会としての利益の最大化に寄与することもあるだろう。どんな形が良いのか?一概には言えない。

【V.スピリット No.34より】

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