ビジョンとは、経営者・経営陣の「夢」や「理想」であると同時に将来のある時点における「実現可能な将来像」、「実現すると思われる企業像」を表す。
「ブロードバンドは今後もますます人々の生活に欠かせないコミュニケーション手段となり、感動を与えるメディアとなってゆくでしょう。あらゆるものがブロードバンドのネットワークでつながることによって、人と人、人とモノ、モノとモノのあいだで、いつでもどこでも瞬時に情報のやりとりができるユビキタスの時代が到来しようとしています。従来の時間・場所・コストなどの概念や常識が根底から覆り、新しいサービスが次々に生まれ、人々のライフスタイルは大きく変化していくでしょう。」
これらはソフトバンクの創業経営者の孫正義氏が平成16年3月期事業報告書の株主への挨拶の中で示している「ビジョン」である。
経営者や政治家、社会的なリーダーに明確な「ビジョン」が求められている今日において、国内最大のプロードバンドサービスプロバイダーとなり、世界のブロードバンド事業を先導する孫氏のビジョンはかなり明確なものだと言える。
ビジョンとは「夢」や「理想」と似ている。2004年3月期には1,000億円を超える最終赤字となり、3期連続の最終赤字を計上しているソフトバンクのビジョンを「夢」や「理想」ととらえる人もいるかも知れない。ビジョンとは、現実性の薄いと考えれらる「夢」や「理想」とは違う。
企業経営に関して言えば、ビジョンとは、経営者・経営陣の「夢」や「理想」であると同時に将来のある時点における「実現可能な将来像」、「実現すると思われる企業像」を表す。
ビジョンと「夢」や「理想」には関連がある。ビジョンの原点、あるいはビジョンの方向性を決めるのは「夢」や「理想」である。しかし、ビジョンは純粋な夢や理想ではなく、経営者・経営陣を取り巻く環境、現在の能力、外的環境や自社の内部環境の変化と変化の可能性からシュミレーションされる将来像であり、企業のあるべき姿である。そこには経営者・経営陣の意志が反映される。
ビジョンが明確に描けない主な理由は2つである。
1. 外部環境と内部環境に関する情報不足、情報の分析不足
2. 組織的な制約や変化の可能性によって独自にビジョンが描き難い
1の問題を抱えている創業経営者や同族経営者に対しては、情報収集努力の不足、経営者としての勉強不足、決断力・判断力の不足などが指摘出来る。経営者としての経験や力が不足していることもあるだろう。
2の問題を抱えているのは主に大規模な企業の経営者だろう。経営者としてのリーダーシップの不足、企業や組織としての意思決定や人事・組織の体制に問題があると考えられる。
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