「当たり前のこと」とは、「忘れられていた重要なこと」と同義語として使われる場合が多いようである。当り前のことについて考えてみたい。
そんなの当たり前だ!
当たり前なことを言うな!
こんな言葉を耳にすることがある。
年長者や特定分野の経験が長い年功者に言われると、言われた方は思慮の浅さ、分析の甘さに不安を感じて、引き下がってしまうことも多いことだろう。
「当たり前のこと」とは一体なんなのか?本当に誰もが「当たり前のこと」として認識していて、あえて説明したり、検討する必要がないものなのだろうか?
「暴力を振ってはいけない」、「嘘をついてはいけない」、「人のモノを盗んではいけない」など良識の確認以外の場面で使われる「当たり前のこと」という言葉は、特に職場などで使われる場合は、注意が必要だろう。
「当たり前のこと」とは、「忘れられていた重要なこと」と同義語として使われる場合が多いようである。また、このような忘れられていた重要なことを「当たり前のこと」と表現する時、大切な検討課題に対して正面から向き合うことを避けていることが多いようである。
「企業が利益を上げるためにどうしたら良いか?」という重要な質問に対して2つの「当たり前」の方法がある。
・売上を増やす
・費用を減らす
「そんなの当たり前じゃないか、他の方法はないのか?」では話しにならない。
「そうだな!では、売上を増やすためにどうするか、費用を減らすためにどうするかを考えよう」というのなら話しは進む。あるいは、「そんなの当たり前だろう!売上を増やすためにどうするか、費用を減らすためにどうするかを考えろ!」なら、少しずるい論点のすり替えではあるが、前進が見込める。「当たり前のこと」を正面から受け止めることなしに問題の分析は進まない。問題が解決することもない。
当り前のことを見落としていた不注意を認めて「当たり前のこと」を正面から受け止めて、考え、判断し、行動すること、「当たり前」と反発してしまうようなプライドや心理を抑えて問題を直視することが重要である。
簡単な問題のようだが「売上を増やす」ためには、製品・サービスの内容や品質、対象顧客、価格、販売形態や販売方法、広告宣伝など、検討対象はさらに細分化されることだろう。それらを総合的に考えて現実的で効果的な解決策としてまとめることは職人技である。
費用の軽減のためにも、原材料費、人件費、その他経費の見直しや配分の最適化、プロセスの見直し、仕組みやシステムの構築や変革など、検討できることは多いはずである。短期的な費用の増減にとらわれず、中長期的なコストの軽減を売上に対する効果を考慮して慎重に検討しなければならない。
「当たり前のことをする」、「当り前のことが出来る」ためには決意や勇気も不可欠である。当たり前のことを実行するためにはかなり高度な力が必要である。
【V.スピリット No.7より】
V.スピリット 総集編
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