始めた仕事は、誰がやめると決めるのか:報告や会議が減らない理由

画像: Adobe Firefly で生成

2026.10.23

組織・人材

始めた仕事は、誰がやめると決めるのか:報告や会議が減らない理由

山中 真琴
株式会社DroR 代表取締役CEO

数年前の納期トラブルを機に始まった週次の報告が、読む会議がなくなった今も毎週作られています。そんな職場の経営者や管理職に向けて、仕事が減らないわけを担当者の判断力に求めず、会社の物事の決め方の側から読み解きます。新しい仕事には言い出す人と期日があるのに、やめるかどうかを判断する人と日は誰とも決まっていないことがあります。いま続いている報告から一つ選んで見直す手順と、新しく始めるときに添えたい一言を示します。

もう一つ、前任の部長が始めた月例会議用の集計資料を例にします。部長が替わったあとも資料は毎月作られて配られますが、それを見て何かを決めることは、もうほとんどありません。

作っている担当者が「これ、やめませんか」と提案したとします。「前の部長が必要だと言っていたのに、何かあったらどうするのか」と問われかねません。やめた翌月の会議で新しい部長から数字を聞かれ、答えられなければ、責められるのは提案した担当者でしょう。

黙って作り続けるほうが、本人には安全に思えます。

こうした損得の偏りを、私は支援の現場で繰り返し見てきました。やめて何か起きれば提案した人が責めを負い、続けて何も起きなくても誰も責めを負いません。毎月の作成にかかる手間は、誰の損としても数えられないままです。

この偏りがある限り、よく考える人ほど、やめようと提案しにくくなりがちです。担当者の怠慢や判断力の問題に見えるものも、この偏りの中で起きていることがあります。

■続いている仕事から一つ選び、決める人と日を置く

では、すでに積み上がった仕事にはどう手をつければよいでしょうか。

私の提案は、定例の報告や資料から一つだけ選ぶことです。作る手間がかかっているのに、受け取ったあとの使われ方が見えにくいものが向いています。

選んだら、それを受け取っている人に「これを受け取って、いま何を決めていますか」と聞いてみてください。問い詰める形にはしないことです。答えに詰まっても、それはその人の落ち度ではありません。冒頭の報告のように共有フォルダに置かれるだけで受け手が分からないなら、その報告を求めた部署の、いまの責任者に聞きます。

答えが返ってくれば、その人に、続けるかどうかを決める役を頼みます。答えられる人がいなければ、その報告や資料を求めた部署のいまの責任者が、この役を引き受けます。

あわせて次に見直す日を一つ決め、その日に続けるか、形を変えるか、やめるかを決めて、結果を作る側にも伝えます。

作っている担当者に判断を預けないのが要点です。やめようと提案した人だけが責められる偏りを、決める人を別に置くことで外すためです。

ただし、法令や取引先との約束で求められる記録や、安全や品質のための確認のように、続ける理由がはっきりしたものまで減らそうという話ではありません。やめる前に、それが何のためのものかを必ず確かめてください。

■始めるときに、やめると決める人と日を添える

Ads by Google

山中 真琴

株式会社DroR 代表取締役CEO

フクシマガリレイ株式会社(現 ガリレイホールディングス、東証プライム上場)を経て、2023年に株式会社DroRを創業。組織開発の実務に4年携わり、従業員50〜300人規模の企業で経営層・人事・現場のあいだに入り、意思決定の詰まりなど職場の問題を組織の構造から読み解いている。共著論文が2026年に査読誌Frontiers in Psychologyに掲載された。

フォロー フォローして山中 真琴の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約、プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。