自動車業界で激化するSDVへの巨額投資。新車売り切り型から追加ソフト販売型へのビジネスモデル転換が期待されるが、そこには「マネタイズを阻む3つの冷徹な現実」が立ちはだかる。
日系OEM・Tier1の現在地と、見えない回収シナリオ
こうした潮流に対し、日本の自動車産業も手をこまねいているわけではない。経済産業省や国土交通省が主導する戦略も含め、各社の対処方針は一定の方向性を示している。
日本のOEMの主なアプローチは、以下の3点に集約される。
- 車載OS・プラットフォームの内製化と標準化:次世代の車両用基本ソフトウェア(トヨタのAreneなど)の確立、コックピットから制御系までの統合。
- IT・通信企業との積極的な協業:高度なクラウド技術やAI知見を取り込むためのアライアンス。
- 先端半導体の協調開発:ASRA(自動車用先端SoC技術研究組合)に代表される、次世代チップの共同確保。
一方、大手Tier1側も、従来のハードウェア単体売りからの脱却を模索している。
- 「Tier 0.5」化への進化とソリューション提供:OEMの上流開発に深く入り込み、システム全体をインテグレートする立場への昇華。
- ソフトウェア開発へのシフト:制御ソフトやミドルウェアを切り離して外販できる体制への移行。
- オープン標準(AUTOSARやCOVESAなど)への参画:開発効率を上げるための共通基盤作りへのコミット。
しかし、これらの施策を並べ立てても、依然として一つの決定的な疑問が解消されない。すなわち、「これほどの巨額投資を、一体どうやって回収するのか」という具体的かつ現実的な戦略シナリオが見えてこないのである。果てしない巨額投資の先に、相応のリターンをもたらす青写真は本当にあるのだろうか。
経営・事業戦略
2025.09.17
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け39年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅第二創業期の中小企業経営者向けの「個別指導型」経営塾『羅針盤倶楽部』を主宰。https://rashimban.pathfinders.co.jp/
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