孤独になりがちな子育てお母さんの見方として、活動を続けられている、日本子育てアドバイザー協会の小谷野さんに、お母さんたちを助けたいという想いをお聞きしました。(聞き手:猪口真)
買物をしているお母さんが、赤ちゃん休憩室でアドバイザーに子育てのことを相談できる。そういうことを話せる人がいれば、悩み事は次々と出てきます。お母さんは話す相手を見て、小児科の先生にはここまで話す、幼稚園の園長先生にはここまで、近所の人にはここまでというように、どこまで話せばいいのか仕分けをしています。アドバイザーは斜めの関係なので、全然知らない人であっても、受け止めてもらえて、気持ちを共感してくれて、同じように感じてくれます。そして、「よくやっていますね」「頑張ってこられましたね」という一言が、明日の子育ての励みになっていっているのです。
猪口 現在、協会では具体的にどのような活動をされているのでしょうか。
小谷野 NPO法人の主な活動は2本柱になっています。ひとつは「人をつくる」で、良いアドバイザーを世に輩出することが私たちの使命です。二つ目は「相談事業」で、活動の場を増やしていくことです。社会に出て働いたことがなくても、子育てをしてきて、何か世の中の役に立ちたいという人にこの認定はとても喜ばれています。資格は何もなくても、志、気持ちがある方がしっかりと活動に参加できるようにしています。
猪口 アドバイザーになる方はどのような方が多いのでしょうか。
小谷野 初期の頃は主婦が多かったのですが、徐々に保育士さんや幼稚園の先生が増えてきました。印象に残っているのは、「10人ごっそり辞めてしまった」と、園長先生が相談に来たことです。園長と先生との意見の相違でぶつかって、辞めてしまうそうです。保育士も幼稚園の先生も子どもの育ちや発達心理学等を勉強していますし、教育の専門家ですが、親のことは学ばなかったので一切分かりません。母親への対応や気持ちなんて一切勉強していないのです。そして、モンスターペアレンツに出会ってから、園長先生が私どもの講座に送り込んできて、親が抱える子育ての不安や悩みがどういうものであるか、話の聴き方、応え方を勉強してもらうわけです。今は専門的な職業の方が多く、小児科の先生もいます。思春期外来担当の先生で、思春期の子どもの気持ちを理解するには、乳幼児期までさかのぼらないといろいろなことが学び、理解しないと、何も診断できないそうです。私たちのカリキュラムがカバーしているのは、妊娠中から思春期までの成長発達(妊娠中、乳児期、幼児期、学童期、思春期)と親の心理を学びます。
インサイトナウ編集長対談
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