AGIの開発やその利用法が議論されるにつれ、シンギュラリティがいつ訪れるのかといった話題が世間を賑わす。しかしその定義を真剣に考えれば考えるほど、AIシンギュラリティの到来は遥か遠くに思える。
OpenAIによる生成AI(人工知能)であるChatGPTの登場以来、ビジネスパーソンにとって「AIという異物」が格段に身近に感じられるようになったようだ。ある調査によると、生成AIを業務に使っているという人が国内でもこの一年ほどで倍増し、4割を超えるようになっているようだ。
コンサルティングの現場でもAIに関する検討のハードルが一段も二段も下がった感がある。我々が事業戦略の手段として「ここにこういう形でAIを組み込むことでユーザー満足につながる能力が数倍上がりますよ」などと提案したものが真面目に受け取られるようになっている(裏返せば、少し前までは必ずしもそうではなかったということ)。
最近では、「AIの能力ってどこまで進化するのでしょうね」とか、「AIシンギュラリティの到来はいつと思いますか?」などと雑談に紛れて尋ねてくるプロジェクト関係者たちも出てきている。
ここでいうAIのシンギュラリティとは「技術的特異点=Technological Singularity」のことで、「AIの知性が地球上の全人類の知性を超える時点」の意味で使われている。シンギュラリティが起こる主要因とされているのが、汎用人工知能(AGI)の進捗である。
汎用人工知能、すなわち「まるで人間のように自律的に思考や学習、判断、行動まで行える人工知能」のレベルがどんどん進化し続けることによって、そう遠くないうちにAIが人類の知性を超えるのではないかと予想されている、ということだ。
実際、今のAGIの開発方向性は、プログラムされた特定の状況以外の課題に対しても(要は「曖昧な課題設定」に対しても)問題解決を図ることができることを目指すものだ。
もしシンギュラリティが起こればどうなるのか。そうなればAIはAI自身でより賢いAIを作っていくと云われている。思想家で未来学者のレイ・カーツワイル氏はこのようなAIの登場を2045年辺りと予測し、「新しい生物の出現に匹敵するほど重要」と指摘している。
しかしここでよく考えなければならないのは「知性」とは何か、という定義である。
確かにコンピュータの進化の歴史において、様々な側面で人類の能力を超える力を、コンピュータが次々に獲得してきたことは間違いない。
それは例えば計算能力、記憶能力であり、論理性や正確性を駆使したゲームに勝つ能力、各種センサーを利用した画像・空間認識能力、画像処理能力であり、各種言語の理解と学習による人々の知識・ノウハウの形式化や精緻化、言語化能力の獲得などである。
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
世界的戦略ファームのノウハウ×事業会社での事業開発実務×身銭での投資・起業経験=実践的な創業の知見を誇ります。 ✅足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクト=PJを主導 ✅最近ではSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)PJの一つを支援 ✅以前には日越政府協定に基づくベトナム・ホーチミン市での高速都市鉄道の計画策定PJを指揮 パスファインダーズ社は少数精鋭の経営コンサルティング会社です。事業開発・事業戦略策定にフォーカスとした戦略コンサルティングを、大企業・中堅企業向けにハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は中小企業向け経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。特に後継経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/
