​東大の学費値上と工学債

2024.06.27

経営・マネジメント

​東大の学費値上と工学債

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/文系その他の学問でカネが儲かるわけもなく、健全化という意味では、むしろ本業に不要の資産を処分して、財務圧縮を図るのが穏当。いくら学費を値上げしたところで、これに逆行してやたら肥大化し、資産と費用を食い潰し続ける工学系を支えられるわけがない。つまり、早急に工学部を東大から分離して独立採算にしないと、本来の東大の方が潰れてしまう。/

交付金も増えない、寄附金も集まらない、受託研究も時勢次第。となると、東大が自力で収益改善できるのは、ほんとに授業料140億円くらいしか無いのだ。53万5800円を最大限の10万円上げると、26億の収益増になる。まあ、こんなことをやっても、焼け石に水で、赤字の半分しか埋められない。おまけに、3億は工学債の金利で消えていく。そもそもが、工学系の債務なのに、東大全体が担保に取られている。まして原資償還となると、ゆくゆくは工学部以外の学生の授業料で工学部の借金を返す、という話だ。それも、この工学債を買っているのは、民間企業や外国人だ。つまり、いずれ債権を盾に東大の財務や運営にも発言権を強める。学問の自由など、あったものではない。

しかし、総資産1兆5000億もあって、フローの収益が2664億しかない、総資産回転率18%にもならない、とは、いったいどういう経営か。一般企業であれば、100%が目安で、その五分の一以下などというのは、資産が生きていない、ほとんど死に体、ということ。もちろん文系その他の学問で目先のフローのカネが儲かるわけもなく、健全化という意味では、むしろ本業に不要の資産を処分して、財務圧縮を図るのが穏当。いくら学費を値上げしたところで、これに逆行してやたら肥大化し、資産と費用を食い潰し続ける工学系を支えられるわけがない。つまり、早急に工学部を東大から分離して独立採算にしないと、本来の東大の方が潰れてしまう。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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