前回は「残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している?」(https://www.insightnow.jp/article/11950)と言うテーマでお話しいただきましたが、今回は、実際にDXソリューションを提供されているDHH合同会社 CEO藤川秀行様をお迎えし、DXの誤解と一向に進まない原因についてお話をうかがいました。
金森 働き方改革でそういった業務が改善されていくことを祈りますね。
富士 日本のサービスを良くするために、見えない課題を顕在化する仕組みの重要性についてもっと関心が高ければ、世の中のビジネス全体にも良い影響を与えるような気がします。それを社員がやらずにコンサルティングに頼みます。お金がないとできなくなります。DXそのものや改善事例などの対策だけではなく課題や真因を発見、分析すること自体を国が会社を表彰するなど、顕在化してあげるような仕組みがあれば、勝手に商売は広がっていくので、日本の経済環境にとっても良いことだと思います。
金森 以前、「内向きのDX」と「外向きのDX」というお話をしましたが、現在、成功事例とされているものは圧倒的に「内向きのDX」が多いです。結局お客様のことは見ないで、自分たちの業務の中で何をすればいいのか考えた結果、そちらが先行してしまう。ですから、「もっと顧客を見ろ」というのが大きなポイントになると思います。
富士 今のDXは「社内のIT化やシステム化」に収まっているものがほとんどです。その挙句にシステムを使いこなせていないことが課題になっていて、フェーズとしてかなり序盤のほうで止まっている感じです。社内のシステム化と顧客サービスはまったくの別物です。顧客サービスの向上に結びついているのは一部だけで、そういう意味で、「残念なDX」というより、残念になるまでにもいっていない。お客さんと意見のぶつかり合いもしていませんから。お客さんと対峙するとなると急にハードルが上がります。
金森 ここでセグメンテーションの話に戻りますが、だからこそ、セグメンテーションは「属性で切る」のではなく「ニーズで括る」のが大原則なのです。年齢などの属性ではなくニーズにこそ意味があります。最近マーケティング界隈では、年齢・性別によるセグメンテーションが効かなくなっていると言われています。10代と60代が同じようなニーズを持っていて、セグメントしてみると同じセグメントに属していることが分かり、実際にプロモーションをしてみると同じように当たっている。従来の年齢・性別で切るセグメンテーションでは語れなくなっているのです。
富士 今回、実際にサービスを提供している藤川さんのお話でも、かなり事前にニーズ調査やユースケース検討をしてもなかなかヒット商品につなげるのは難しいことがわかりました。
特にDX分野の進歩が速いために製造してリリースするころにはマーケットが変わっているということもありえます。日本がアメリカに勝てないと言われますが、圧倒的に参入規模というか裾野の大きさが違う。大きな成功の裏にはそれ以上の失敗があるでしょう。日本は限られた大企業が市場を占有していて中小規模の企業は大逆転が難しい産業構造です。だからこそDXは切り札になりうると考えます。
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残念なDX
2024.01.31
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