前回は「残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している?」(https://www.insightnow.jp/article/11950)と言うテーマでお話しいただきましたが、今回は、実際にDXソリューションを提供されているDHH合同会社 CEO藤川秀行様をお迎えし、DXの誤解と一向に進まない原因についてお話をうかがいました。
そこで、これまでのユースケースに基づいてターゲティングを行い、DMを送り、その後にフォローコールをするという施策を行いました。また、人材採用の市場にもアプローチしました。採用の現場は人手不足で、募集しても実際の応募を取り切れないケースがありました。DECIBELであれば応募の電話を自動化することができます。
しかし、ターゲティング自体は間違っていないと思うのですが、なかなかうまくいきませんでした。
猪口 振り返ってみて効果としてはいかがでしたか?
藤川 そこからの僕の仮説として思うことは、電話が鳴って困っている状況でないと何を言ってもまったく響かないということです。そこに尽きます。問題を目の当たりにしないことには想像できないのだと思います。
金森 「顕在化したニーズ」がないとだめだということですね。例えばコールセンターの中でももう少しセグメントを割って、「サービスエージェンシー」と「インハウスのコールセンターを持っている事業会社」にセグメントする。事業会社は自分のところの人と施設を使っているわけですから、インハウスのセンターなら明確に「自社オペレーションの効率化」というニーズを持っているので、そちらを狙うわけです。「セグメンテーションはニーズで括る」のが原則なので、そもそもどこにニーズがあるかを明確にして、セグメントをもう少し細分化する必要があったのかもしれません。
猪口 営業機会を失わないようにする、手間を省きたい、あるいはオペレーターの人数を減らしたいという課題ということでしょうか。
金森 その通りです。
富士 課題という形になっていないとニーズとして認識されないですよね。営業時間外に電話がかかってきたとしても、社員が知らないところで起きている事象なので、積極的にそれに対応しようという気持ちがあって調べなければ分からないです。大事な機会を損失していても実際には分かりません。
猪口 けっきょくDXは、自分の業務をいちから組み立て直すようなところがない限りうまくいきません。今の業務のどこか改善点かという話ではありませんから。
金森 だからこそ、自社のバリューチェーン全体を洗い直して、どのように「改善」ではなく、「変革」することがKSF(Key Success Factor=成功のカギ)の実現に繋がるかを考えることが必要なのです。
富士 これは意外と難しい話です。見えていないところを見えるようにしないと課題にならないわけですから。売上に直で影響するのであればおそらく気づきますが、自分自身がそれほど困っていないとなると難しい。サービス品質をチェックするような調査があればわかりますが。
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残念なDX
2024.01.31
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