スポーツへの参加障壁をなくし、誰でも「勝つ」可能性を秘めたスポーツが「ゆるスポーツ」 今では、企業でのイベントや企業研修にも取り入れられています。世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也様に、ゆるスポーツの魅力とこれからの可能性についてお話をうかがいました。(聞き手:猪口真)
萩原 まずチームビルディングで、ゆるスポーツをすることで仲良くなります。部署ごとにチームを組むケース、全然知らない部署の人たちとチームを作るケースなど、さまざまなパターンがあります。最近は新卒の研修で使っていただく機会も増えています。企業によっては数週間缶詰めになって新卒研修をする中で、ストレスも溜まっていくし、同期の人たちと喋るのはその会社の課題のようなことばかりになってしまう。そこで、息抜きや仲良くなってもらうという意図で導入していただいています。
ほかにも面白い使われ方があって、例えばマネジメント層の研修にゆるスポーツを取り入れていただくケースもあります。みんなやったことがないスポーツなので、どうやったら勝てるのか誰も分かりません。その状況の中でマネージャー同士が話し合って、より勝てる戦略を選択できるか、議論できるか、みんなの意見を取り入れられるかを考えます。業務ロープレイに近いところがあるため、研修として導入していただいています。
ゆるスポーツの体験だけではなく、ゆるスポーツを作るワークショップを新卒研修や学校の授業ですることもあります。チームビルディングやディスカッションの仕方を学ぶのと、クリエイティビティを身につけるのが目的です。クリエイティブとは言ってしまえばロジカルシンキングの延長です。0から1を作るのがクリエイティブだと言われていますが、そんなことは世の中にほとんどありません。クリエイティブと言われるものも、何かしらを組み合わせて作っています。ポスターやキャッチコピーを作ろうとするとそれぞれの知識の差が大きく出ますが、スポーツの場合は皆さんある程度馴染みもあって、それほど大きく知識の差が出ません。今までにないものを作ることで議論が盛んになり、活発になります。
猪口 たしかにゆるスポーツで勝つ戦略を作るのは、既存のヒエラルキーには関係ありませんね。ソフトボール大会やボーリング大会ではやっぱりやっていた人がリーダーになっていきますし、そこでランクがついてしまいますけど、ゆるスポーツでは関係ない。
萩原 そうなんです、ゆるスポーツはみんなゼロから始まるので。もちろんその中でスポーツ経験者は習熟が早かったり多少はありますが、皆がゼロから始めて、そこの中で試行錯誤していくというプロセスは、他のスポーツイベントやロールプレイとは異なるところだと思います。
猪口 人事教育の場合はアクティビティと言われるゲームを取り入れることが多いですが、ゆるスポーツでは考えるのですね。どのようなものがあるか考えて作り出していくというのは今までほとんどないですし、とてもいいですね。
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