前回の「残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している?」(https://www.insightnow.jp/article/11890) 第1回は、日本企業のDXに存在する「残念なDX」現象をテーマに、顧客志向が弱いこと、そもそも成功なのか失敗なのか明確でないという話をしました。今回はDXの誤解と失敗の原因について、さらに一歩進んだ話をしたいと思います。
4つ目は「目標と成果の不一致」で、DXの目的が不明確で、特定の技術導入に重点を置いているが、ビジネス上の明確な成果や目標に結びついていない状態です。現実的にはこれが最も重要な問題だと思います。そもそも何をもって成功なのかというルールが決まっていないので、売上で測る話ではないのに、「売上が上がらないじゃないか」と怒られてしまう。その結果DXの一番の問題は、担当者が混乱したりモチベーションが下がっていくことです。
猪口 先ほどの戦略が不明確という話と一緒ですね。
富士 一緒だと思います。
金森 「目標」は「戦略=目的+優位性」における「目的」の下位概念の一部です。「目的」とは、「目標(数字)+「意味」になります。「数字」とは売上や受注件数、継続率・・・などの数値目標で、「意味」とは「なぜ、その目標を達成しなければならないのか?」や「達成するとどのような良いことがあるのか?」という背景情報です。そこがきちんと定義され、関係者全員で共通認識化されていなければ、成果は出ません。
富士 今回お話ししたいのが5つ目の「DXの目的が不明確」です、目指すところが見えないという方がわかりやすいかもしれません。特定の技術導入に重点を置いているが、ビジネス上の明確な成果や目標に結びついていない状態です、R O Iに結びつけないといけないと考える方も多いともいますが、ビジネスモデルの変革や働き方改革など簡単には測れないものも多いので一旦は個別に考えてみることが大事だと思います。前回も言いましたが、DXが本当にお客様のメリットにつながるのかが大事なポイントです。顧客満足や顧客幸福、カスタマーハピネスを実現するためには、カスタマージャーニーを通して、より幸せを感じるような流れをつくっていく必要があります。
ところがこれが難しいのは、顧客のことが分かっているのと、顧客の気持ちが分かっているのは別だということです。成功している企業は、顧客がどういう時に不満になってどういう時に満足するか分かっていても、必ずしも気持ちに寄り添おうと思っているわけではありません。日本人はこれが苦手です。今「寄り添う」という言葉が流行っていますが、実際にどういうことをすれば寄り添うことになるのか意味が分かりにくいですよね。
猪口 そういう意味では、世界で言っているエンゲージメントと日本人が言っているエンゲージメントで意味が違うのでしょうね。日本の場合、イレギュラーが多すぎるのでしょうか。
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残念なDX
2024.01.31
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