【インサイトナウ編集長鼎談】「残念なDX」第2回:DXの誤解と失敗の原因(1)

2024.01.31

経営・マネジメント

【インサイトナウ編集長鼎談】「残念なDX」第2回:DXの誤解と失敗の原因(1)

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

前回の「残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している?」(https://www.insightnow.jp/article/11890) 第1回は、日本企業のDXに存在する「残念なDX」現象をテーマに、顧客志向が弱いこと、そもそも成功なのか失敗なのか明確でないという話をしました。今回はDXの誤解と失敗の原因について、さらに一歩進んだ話をしたいと思います。

このように、DXの各段階は、企業や組織のビジネスや業務プロセスをデジタル技術を用いて変革し、最終的にはビジネスモデル自体を変えることを目指しています。


「残念なDX」5つの特徴

富士 これを踏まえて、成果の上がらない、トランスフォーメーションしない「残念なDX」とはどのような状態なのか、5つの特徴を挙げてみます。まず、残念なDXとは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の本来の目的である根本的なビジネスプロセスや組織文化の変革が達成されず、単なるデジタル技術の導入にとどまる状態を指します。特徴のひとつ目が「表層的なデジタル化(デジタル化、デジタライゼーション)」で、プロセスのデジタル化が進んでも、それが表面的で、ビジネスの根底にある問題点や機会を解決・活用していない状況です。

2つ目は「組織文化の変革不足」で、デジタルツールの導入にもかかわらず、組織文化やマインドセットが変わっておらず、従業員が新しいツールやプロセスを十分に活用していない状況です。ビジネスモデルを変えよう、グローバルに打って出ようなど、会社としての変革が伴っていないので、ツールを入れるだけに留まってしまうわけです。

金森  「DX白書2023」のサブタイトルが、“進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」”となっているのがまさに象徴的ですね。

猪口 組織文化については認識の違いが多いでしょうね。

富士 業務改善で終わってしまうのはこの辺りに原因があると思います。そもそも企業文化を誰が決めるのかが問題です。私が以前の職場にいた時、「会社の風土を変えたい」とよく「風土改革」という言葉を多用していました。この「風土」も「文化」と同じ意味合いです。「1会社1風土」的に使う人も多いですが、私は違う考え方をしてみました。会社を金槌で叩くと、社員の数だけバラバラの分子に分かれて、その1個1個が風土をつくっていると考えるのです。集合体なので、1個1個が変わっていかないと風土は変わりません。会社が一気に「1会社1風土」で変えようとしても変わらないわけです。1人ひとりの変化の積み重ねで、1人ひとりがどう考えるか、変わっていくかというところに常に目を向けるべきで、その取組みが足りないのだと思います。

3つ目の特徴は「経営層のコミットメント不足」で、DXを推進する上で経営層の明確なビジョンや支援が不足しているため、変革が断片的または方向性を欠いている状態です。これはDXに限らないのですが、そもそも経営層が関心が低くて、プロジェクトだけつくって「あとはよろしく」ということが多いです。

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