腐り崩れた日本人のモラリティ

2023.12.30

ライフ・ソーシャル

腐り崩れた日本人のモラリティ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/この四半世紀、なんとか日本が持ってきたのは、きちんとまともに仕事をやり遂げようとするまじめな人々の地道な努力のおかげだ。しかし、それももはや限界だろう。彼らに乗じた口先ばかりの連中が増えすぎた。/

しかし、今の時代、学校になにか期待できるだろうか。そもそも先生たちからして不祥事だらけ。そうでなくても、先生は御立派であるべきだ、などという金科玉条の下、モンスタースチューデント、モンスターペアレントのわがまま放題の鬱憤のはけ口にされて、言い返すことも許されず、疲れ切って、辞めていく人ばかり。残っているのは、自分自身ではなにもしないくせに、ただ偉そうなことを言っているだけの教育ゴロ。どのみち、みんな人間的に不幸そうで、学生たちも、尊敬どころか、ああだけはなりたくない、と思っているだろう。

安定の政権与党から大企業中心の経済、ろくに勉強しなくても、推薦で進学できる有名学校。見てみろ、テレビや新聞で雁首を並べ、口角泡を飛ばし、もっともらしいきれい事を言い立てるが、裏では人に言えないことばかり重ねている政財界、文化人の空虚で醜悪なブヨブヨの自己肥大連中を。そして、そんな腐って崩れたやつらにおべんちゃらの限りを尽くす卑屈なマスコミ連中を。こんなアンシャンレジームが続く限り、日本は静かに沈んでいく。さいわい、いまさら武装してそれを破壊し革新する勢力も無く、これが壊れるとすれば、外国の侵略か、国内の災害くらいしかあるまい。なんとも平和で喜ばしいことだ。

だが、それでも私はリンゴの木を植える。それは、世の中を良くしよう、日本を変えようなどという大志とはほど遠い。むしろ自分ひとりの保身だ。いくらカネが稼げても、いくら地位が得られても、こんな腐って崩れた時代の風潮に流されて、貴重な一度限りの一生、自分自身を腐らせ崩して、生ゴミのようにムダに費やすことだけはしたくない。どのみち、自分は世間より先に去って行く。そして、いつかだれかが木になったリンゴを見て思うところがあれば、というのが、ほんのわずかの、小さな望みか。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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