「全身企画屋」と自らを語り、現在は福岡の地で活躍される中村さん。いまでも多数の企業の顧問を務め、変幻自在な仕事っぷりとそのスタイルは、あらゆるナレッジワーカーが参考になるはずです。 インサイトナウをはじめ、アウトプットを出し続ける中村さんにお話しを伺いました。(聞き手:猪口真)
猪口 福の神ですか(笑)
中村 クライアントにとっての福の神になって、「この人を外すと成長が止まるかもしれない。ハッピーな空気がなくなるかもしれない」と思わせるためにはどうしたらいいか、そのために、ずっと愛嬌を磨き続けています。
猪口 アウトプットを出す時の現場感覚のようなものはありますか。今の人たちは基本PCに向かっているのが仕事のイメージだと思います。20年ぐらい前に僕が事業会社にいた時には、「エクセルに仕事はないから」という話をよくしました。すべてが現場で起きているといった感覚があったわけですが、その辺はいかがですか。
中村 先ほどの「すべてのことがネタになる」というのは、映画を見ても、CMを見ても、看板を見ても、世の中で行われているすべてのことを見て、「企画書に書いたらどうなるんだろう」という見方をします。「どのような提案書で動き出したか」という見方が癖になっているんですね。本を読むより現場に行って、「ここをこうしたほうがいいね」「俺ならこうするね」ということを常に思考します。
猪口 自分ならこうする、と企画書をイメージするのは楽しいですね。
中村 企画書を提案するのにどういうワードでそのコンセプトを出したかぐらいの漠然としたものですけどね。すべてのものを見る時にそういう風に見るのは、トレーニングになりますし、役に立っています。
説得力は人柄と言葉が一体化されたもの
猪口 中村さんの企画書は楽しそうです。
中村 私の企画書の書き方は特殊ですよ。私は、1枚目に詩が書かれているような企画書を持って行って、「いいね〜」と言われるのが一番いいんじゃないかと思っているんです。賢い人は大勢いるので、理屈は調べたらたくさん出てきますから。猪口さんもわかると思いますが、1990年前後のネットがない頃は企画書が手書きでした。図書館に資料を探しに行って、資料をコピーして持って帰ってくるだけでお金になっていました。
結局一番重要なページは、前後ではなくど真ん中に何が書いてあるかだけです。なので、企画書を書く時は画像検索をします。オチの一番中心になるページにどんな絵を貼るか、真剣に考えるんです。画像検索して一番気に入った絵をはめて、そこに言葉や図を入れていきます。どちらかというと、絵から入るようにしたほうが、自分らしいプレゼンができるし、仕事になる率が高いことが、40代後半ぐらいから分かってきました。
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インサイトナウ編集長対談
2023.03.24