私はさまざまなトラブル、スキャンダル事件があった芸能人や政治家など有名人が、謝罪を通じて事態収拾を図るプロセスをずっと見てきました。常に心がけているのは、私は倫理の判断者ではなく、あくまで危機管理の視点でのBCP(事業継続)を語る役割であることです。事件により謹慎していたアンジャッシュ渡部さんが、謹慎中から行っていた企業講演を元に、ビジネス書の出版をするとのこと。BCP視点では、とても悪い判断だと思います。
そこまで有名では無く、美男美女・金持ちでもない人であれば、このリスクは低くてすみます。渡部さんは自身がイケメン芸人であり、美人アイドルの妻を持ち、グルメを売りにするという、きわめてリスキーなポジショニングで活動していました。
私は復帰するならこうした位置エネルギーを一度下げなければ無理であると述べています。謝罪会見でフルボッコになったのは悪くないのですが、何一つ自分を貶める新情報は開示されず、都合の悪いことは話せないで突っぱねる姿勢もマスコミをすべて敵に回したといえます。
謹慎中、魚市場でアルバイト?する姿が出たことがあります。どうしてこれを3年続けなかったのでしょう。芸能界はすっぱり辞め、地道に魚市場できつい肉体労働するといったことを、仮にポーズであったとしても、何年か続けることができればむしろ復帰は早まった可能性があると思います。
一方で千葉テレビ復帰、講演会、ビジネス書出版。すべて「キレイな仕事」です。
やっぱり手や身体を汚すきつい肉体労働ではなく、キレイな環境に身を置き、高尚で高効率な報酬が得られる道が好きなのだというメッセージになると思います。
キレイな仕事は、自分の位置エネルギーを高いまま維持し続けることになります。芸能活動するのであれば、多くの芸人さんが言っているように、若手に混じってライブでコントをする(児島さんが無理なら一人コントでも)といった、地味で目立たない活動をすることこそ、位置エネルギーを下げ、結局復帰につながる最短距離となる可能性があったと思います。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。