現在、コンサルタントとしてのキャリアを選択する人が増えており、しかも優秀な人ほどその傾向は強いようです。長年、コンサルタントとして様々なプロジェクトを指揮し、現在も第一線で活躍される、パスファインダーズの日沖博道さんに、コンサルタントとしてキャリアを積むためにはどのような能力が必要なのか、またコンサルタントとしての仕事の楽しさや厳しさについて、お話を伺いました。
特に大手のコンサルティング会社は、若い人が長時間働いて出した成果に高いチャージをして稼ぐのが基本のビジネスモデルです。時間チャージで請求額を決める方式だと、時間を削ると自分たちの売り上げが下がるというジレンマがあるので、どうしても労働時間が増えてしまう傾向にあるようです。
猪口 コンサルティング会社に就職したい学生が増えている状況についてどう思いますか。
日沖 業界としては良いことだと思います。しっかりしたコンサルティング会社は、研修やビジネスの基本教育が充実しています。我々の時代でもコンサルティング会社が高く評価されたのは、そういったところがしっかりしていたからです。新卒が入って3年ぐらいみっちり修行して他へ行くというパターンは、当人たちにとってもメリットです。若くて体力があるので仕事が厳しくても乗り切れるし、伸び代があるので、集中した期間で能力が大きく引き出されます。真っ当に頭を使い、真っ当な稼ぎ方をするのであれば何も問題ないでしょう。
でももろ手を挙げてどんな会社でもOKと言っている訳ではありません。ブラック業界だった頃の思考のままで変わらない幹部が主流のファームなら絶対的に避けるべき。先輩人脈などを活用して内部事情をできる限り知った上で飛び込む必要があります。
コンサルティング会社と事業会社を交互にやるのが一番楽しい
猪口 自分の意志で選び、自分の糧にして、自分で次の仕事を考えるようになればいいということですね。ただし、コンサルティング会社で能力を発揮して、偉大なコンサルタントになる方もいれば、その後、事業会社に移ったり、自分で事業を立ち上げたりする人もいます。
日沖 コンサルタントとしてのキャリアには二通りあると思います。コンサルティング会社で自分の技量を磨き、コンサルタントとして上り詰めていく生き方がひとつ。マネージャーとなり、部下を育成しながらクライアントとの関係性をより強めることができれば、さらに上に行くことができます。
もう一つは、優秀で出世もできるけど、あえて外に出る。ベンチャーや事業会社など、外部で違うところに行って、身に着けたスキル・ノウハウを使って、事業会社の立場で事業を大きくしていく。そういったところで手腕を発揮する人もいます。どちらのタイプも基本的に求められる能力はそれほど変わりません。
猪口 事業会社に行くというのは、僕も似たような経験がありますが、非常に楽しかったですね。自分のところのプロダクトを自分でできるので、ビジネスが大きくなるのが手に取るように分かります。コンサルタント側は、当たろうが当たるまいが、ソリューションへの対価は変わらないので、そういう意味では、事業の成果が目に見えてわかるのがとても楽しかったです。
次のページ最終的には、コンサルティング会社を設立し、起業
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12