/レポートや卒論の一般的な採点ポイントは5つ。1.テーマ、2.リソース、3.レファレンス、4.コミットメント、そして、5.アチーブメント。書式なんて、しょせんは個々の学会、個々の大学、個々の学科のローカルルール。しかし、内容の評価基準は、世界共通。/
4 コミットメント:自分自身の問題としての参画
いくらレポートでも、人の話を寄せ集めただけでは、自分のレポートではない。人ごととしてではなく、自分もまた、それを自分自身の問題にして取り組む必要がある。自分が評価したレファレンスを踏まえて、その曖昧な点を解明するような実験や論証を自分自身で展開し、それによって、テーマに対して、自分自身としての回答へ一歩でも近づく。
5 アチーブメント:どこまでわかって何がまだわからないか
リソースや追加の実験論証を駆使する自分のコミットメントによって、レファレンスよりどれだけ得るところがあったか。また、どれだけまだ足りないのか。つまり、自分自身の取り組みについても、客観的に再評価し、以後の学究に賦す。
どうも、近年の小中高の学校教育が悪い。やたら自分の意見を述べさせることばかりやっているが、そんなものは、ただの無知の感想だ。ディベートでテクニカルに相手を言い負かす、というのも、学究の姿勢からほど遠い。そんなことばかりやっていたら、若いうちから伸びしろが無くなってしまう。
事実のリソース、周囲のレファレンスと向き合って謙虚に吸収してこそ、勉強。そこから自分で一歩踏み出そうとしてこそ、研究。大学生にになったら、レポートや卒論の執筆を通じて、自分自身の知性を磨く根本姿勢こそ、しっかりと身につけよう。
哲学
2021.11.13
2022.02.16
2022.03.08
2022.04.03
2022.04.14
2022.06.23
2022.09.15
2022.11.02
2022.11.24
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。