仕事現場では多くの人が「自律が大事だ」「キャリア自律しなくてはいけない」とよく口にします。しかし「自律|自律的に働く」がどういう状態であるのか、ましてや「自律」を育むことがどういうことなのかを明解にとらえ、発信しようとしてきませんでした。本稿ではその「自律」をある角度からながめてみます。
フェーズ1に留まる人は、厳しい言い方になりますが、代替されるリスクのある「人材」です。またフェーズ2でも不十分です。フェーズ2の仕事は、やはり半分受け身なのです。右辺、すなわち目標や課題が組織や上司から振られるのを持っている状態です。
完全なる自律とはフェーズ3です。右辺、左辺の両方をつくり出せる人は、代替のきかない「人財」です。そしておそらく両辺を自分でつくり出すと、おのずとその仕事は「自分ごと」となり、志事的・ミッション的な性質を帯びてくるでしょう。
そういった自律の仕事を積み重ねていくと、自然にキャリアは切り拓かれてきます。何年か経って振り返れば、納得のいく、いやそれ以上に想定外に発展を遂げる職業人生になっているはずです。キャリア・プラニング(計画)をいくら綿密に立てたところで、日々の仕事において「○+○=○」の自律的挑戦がなされていなければ、絵に描いた餅になるでしょう。
自分の自律的挑戦が、他者の自律的挑戦と交わり、化学反応を起こせば、キャリア・プラニングのちっぽけな枠を超えて、想定外の世界が開けることもあります。自律的に働くとはそういった醍醐味があります。
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2009.02.10
2015.01.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。