仕事現場では多くの人が「自律が大事だ」「キャリア自律しなくてはいけない」とよく口にします。しかし「自律|自律的に働く」がどういう状態であるのか、ましてや「自律」を育むことがどういうことなのかを明解にとらえ、発信しようとしてきませんでした。本稿ではその「自律」をある角度からながめてみます。
これは「半分開いた業務」というべきものです。この種の仕事ではそれを行う人のやり方や創意工夫によって個性が出ます。これができる状態を「半自律」とみます。
そして最後に「○+○=○」の仕事です。
まず右辺の設定。自分の担当仕事において、あるいは自分のキャリアにおいて課題は何か、挑戦すべきことは何か、どんな目標を定めるのがよいかを考える。
次に左辺。課題を解決し、挑戦を乗り越え、目標を達成するための方法・プロセスは何が適当かを考える。そしてその実行。
そのように右辺も左辺も完全に「開ききった業務」を自分で取り仕切ることができるようになる。これこそが「自律」の仕事です。自律の仕事には、創造性はもちろん、時代をみる目や課題を発見する力、目標を設定するセンスや意志、そして必要に応じてプロセスを修正していく柔軟性や機動力が必要になります。
自律=右辺と左辺を自在に組み合わせて自分独自の等式を成立させること
自立から自律に向かう仕事・就労意識の3フェーズを1枚のスライドにまとめるとこうなります。
「5+3=●」的な閉じた業務というのは、足し算という技能さえ身につければ、後は決まった答えが出せるので比較的やさしいといえます。他方、「○+○=8」や「○+○=○」のように開いた業務は、決まり切った答えがないという意味で難しい。
また、「○+○=○」の形は、「○+○×○÷○-○=○」のようにどんどん発展させていくことができます。すなわち、足し算という技能だけでなく、掛け算とか割り算とかいろいろな技能を追加習得して、複合的に組み合わせ、自分が定めた右辺の目標達成に向かっていく。そうした右辺(=目標・ゴール)と、左辺(方法・手段・プロセス)の組み合わせを自在につくり出していくことが「自律」的に仕事をやる面白さです。
本稿で「自律」を定義するとすればこうなります───
「自律」とは、右辺と左辺を自在に組み合わせて自分独自の等式を成立させること。
自律的挑戦を重ねていけば想定外にキャリアは発展していく
仕事を得て、生計を立てていくために、まずもって「自立」は大事です。そのために、一人前以上に業務をこなせる知識・技能を身につけること。しかし、そこで安住していては長きキャリアの航海を渡っていくことは難しいでしょう。なぜならそういった「閉じた業務」を真面目にこなす人は世の中にたくさんいますし、機械やAI(人工知能)に置き換わる時代がきているからです。
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2009.02.10
2015.01.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。