現22卒就活(2022年4月入社の現・学部4年/修士2年)学生の結果がかなり出そろってきました。既に就活イベントやインターンシップ講座は次の世代23卒学生に移行し始めていますが、ここにきて立て続けに大企業での就活セクハラ事件が続発しています。あり得ないことが続発する背景を、企業は認識しているでしょうか?
一方、インターンシップで低学年からOB訪問したい学生など、ニーズはむしろ増えているため、そうした市場性を放っておくIT業界ではありません。就活/インターンシップ特化SNSや、就職・転職情報企業が、OBと学生を引き合わせる「マッチングサイト」を運営しています。
出会い系と基本的に構造は変わらないシステムですから、OBに会いたい学生と、「後輩に指導したい」欲求を持つ社員をマッチングさせ、そこから先は二人きりでご自由にという、システムだけならまるで出会い系と区別がつかないものが利用されています。
・経営者の責任と具体的対策の必要性
こうした存在を経営者はご存じでしょうか?今回懲戒解雇など処分を受けたセクハラ行為者たちは、悪質なことに上記のマッチングサイトのような、「OBだが単なるその会社の現役社員」ではなく、学生の個人情報まで知り得る人事担当とのこと。悪質さが際立って高いといえます。こんな人物を採用担当に充てた企業責任はきわめて重いといえます。
性犯罪を犯した教員が、事件を起こしても復帰できてしまう仕組みが問題視されていますが、就活セクハラという完全な犯罪行為を犯すレベルの社員を採用担当とした会社は、自ら脆弱すぎるコーポレートリスクを放置していることになります。
経営者の方は、今一度本当に自社の採用がこうした高いリスクにさらされていることを認識され、現場の再確認や徹底したハラスメント教育や認識向上などの具体的対策を取らなければならないものとご理解下さい。就活セクハラが起これば、その事実は未来に渡って、就活情報交換サイトにデジタルタトゥーとして永く語り継がれることでしょう。
ハラスメントの境界線シリーズ
2021.05.26
2021.07.01
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。