「金を稼いで家計を支える父親たる私は、専業主婦である妻よりも能力があり、価値が高い」と思っている男性が、職場で女性の意見や工夫を受け入れ、活かそうとするだろうか。
こう考えると当面は、従業員の属性や数値面だけ多様化の兆しを見せるくらいのものだろう。女性社員や女性管理職の割合が高まる、昇進・昇格において性別や年齢との関係が徐々に薄れていく、男性の育児休業の取得比率が高まるといった外形の変化にとどまる。そして多様化が企業の成果につながっていくのは、相当に先、日本人の生活者としてのありようが大きく変わるくらい先のことになると考えるのが普通だ。欧米企業を範とした多様性を目標とするなら絶望したくなるが、日本人にとってそういう組織が適しているかどうかは分からないのであって、ムキになって多様化を進めようとするよりも、日本人がもっとも力を発揮しやすい組織のありようを熟考するときだろうと思う。ダイバーシティに限らず、欧米から発信される様々な目新しい組織論に対しても同じ姿勢を持つべきである。
新しい「日本的人事論」
2019.03.20
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2021.08.10
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。