適切な人材がいないせいで新事業創出の取り組みが迷走したり頓挫したりすることはよくあること。それでも、人材不足を理由に取り組みそのものに消極的になるのは間違っている可能性が高い。
このアンケートでは「新事業を創出する際の課題」も尋ねている。複数回答を許しているが、55%の人が「適切な人材の投入」を挙げており、断トツの1位だ(他には「魅力的な案を出すこと」や「経営トップのリーダーシップ」などが4割程度で続く)。
この回答結果は全く意外ではない。似たようなアンケートでは、毎度ほぼ間違いなく1~2位あたりに入ってくる項目だ。しかも昔からそうだ。
つまり新事業を推進したいけど、それに適した人材が社内になかなか見つからないのでなかなか進まない、または迷走・頓挫してしまうというのは、現実の悩みではあろう。新事業に取り組む企業にとって「適切な人材の投入」というのは永遠の課題と言っていい。
人材の育成が既存事業を念頭に置いて、かつOJTを中心に行われているのが、大半の日本企業(大企業でも中小企業でもそう違わない)の現状だから、「新事業創出に向いた人材」を育てるノウハウが確立しているケースは稀だろう。ある意味、この傾向は当然だ。
しかし肝心なのはここからだ。「適切な人材がいない」と愚痴をこぼしているだけでは物事は進まない。
小生は猫も杓子も新事業創出に積極的になるべきだとは考えていない。むしろ、まずは本業をしっかりと安定させるのが大半の企業にとって先決だと思っている。そして「とりあえず新事業創出に取り組みましょう」と安易に薦めるつもりもない。新事業創出に注力するなら、きちんと戦略を練ってから取り組むべきだと考えている。
しかしその上で、戦略的に考えて新事業創出に取り組む必要があると判断したのなら、「適切な人材がいない」ことを理由に立ち止まることは間違っている可能性が大いにある。本当に新事業推進を進めたいのであれば、少なくともやる気さえあれば、手がない訳ではない。
例えば、として挙げれば次の通りだ。
- 1)社内でやる気のある人材を募集することで、やる気はあるが「埋もれていた人材」を発掘できるかも知れない。
- 2)(社内に不足しているなら)社外に人材募集を掛けることで、経験とスキルを持つ人材を獲得できるかも知れない。
- 3)適切な他社に声を掛けることで、自社に欠ける部分を補いリスクを軽減できる協業相手が見つかるかも知れない。
「適切な他社」が自社だけでは特定できない場合、付き合いのある金融機関や地域の商工会議所、その他のサポート機関に相談してパートナー候補を紹介してもらうこともできる。事実、弊社の某クライアントでは1)も2)も実施済だし、3)も何とか探し出せることが多い。
どうだろう、あなたの会社でも前向きに考えてみては。新規事業
2016.11.23
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/