喫煙スペースでのコミュニケーションすらできなくなっている現状では、マネジメント受難どころではないという話なのではないか。
また、ジョブ型というからには、成果重視型ということもできるだろうが、そもそも成果を出している社員が誰で、どれだけいるのかというのは、このコロナ禍でなくとも、優秀なマネージャーはすでによくわかっている。
さらに、こうした視点は、スタッフの能力やスキルを平均化しすぎている。よく、80/20の法則などといわれる(2割のスタッフが8割の利益を稼ぐ)こともあるが、実態は、8対2どころか、9:1、95対5だと感じるマネージャーは少なくないだろう。
実際には、このコロナ禍で、その姿がよりあらわになっていると思う。日本の心優しいマネージャーたちは、それを口にしていないだけだ。
もちろん、目標にしてもそうだ。わざわざ目標を共有するなどしなくとも、できるスタッフは必ず自分で高い目標を持っていて、常に上司やクライアントの期待以上の仕事をしようとする。それは、コロナ禍でも関係なく、マネージャーの仕事は成果を出しやすくするためにクライアントとの関係をさらに高めたり、使える予算やリソースを確保してやることだ。
そうなれば、プロセスではなく成果の報告をさせることも、意味がないということがわかる。優秀なマネージャーは、報告されることがプロセスだろうが結果だろうが、そのスタッフのスキル、働きっぷりは百も承知だ。
バーチャルな空間を共有することも、これまで会議に参加するだけだった仕事の仕方と何が違うのだろうか。こうした指摘は、オンラインミーティングで絆を深める的な、非常時には効果的な方法だとは思うが、それが恒常的な解決策とはまったく思いにくい。
時間管理の方法は各自に任せるというのは、フレックスや、働く時間の自由裁量を意味するのだろうが、先ほど述べた、成果を出している5%~10%のスタッフに対しては問題なく、むしろそうすべきだろう。
しかし、仕事を自分で組み立てるスキルを持たないスタッフまで同じ対応をすれば、どういうことになるかは明らかだ。
本当にマネージャーは受難だ。完全に、これまで行われてきた、中間管理職の仕事と「思われた」仕事はほぼなくなった。
そこにいなくてもマネジメントできる、市場のニーズと自社のニーズを読み込み、的確な戦略策定とプロセス管理を行う、本当のマネジメントスキルが求められているからだ。
そういう意味では、マネージャーはいい機会を得ているともいえる。会社の経営陣は、できるマネージャーの有難みがわかったのではないか。報告の仕方やこれまでの管理業務がマネージャー業務ではなかったことが明白になったからだ。
期待された以上の成果を出してきたマネージャーは、縁の下を支える役目として、これまでもやってきたことであり、とりたてて問題になることもないだろう。これまでの業績は、こうしたマネージャーの力によって築かれてきたのだ。そういうマネージャーのスキルはあまり表に出ることは少なかっただけだ。
マネージャーは自信を持って、今こそ、自分のスキルを再構築し、勝負に出る時期が来ていることを肝に銘じなければならない。
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