コロナ(隔離)の時代に、顧客に近づき、顧客とのつながりを保っていくことが極めて重要な課題となっている。世界最大の規模を誇りつつも、ともすれば「時代遅れ」な「古臭い」イメージがついてまわるウォルマートだが、コロナに好機を見出し、顧客との距離を縮めるためにいったいどんな戦略を実装しているのか。
ウォルマートの駐車場がドライブイン・シアターに!
ウォルマートが全米にある店舗のうち160か所の駐車場を利用し、「ドライブイン式映画館」を臨時運営するという。コロナの時代に映画館に行くこともままならなくなって、夏だというのに家にいなくてはならないのかと多少フラストレーションを感じている生活者にとっては嬉しいサービスだ。
アメリカでドライブイン式映画館といえば、車に乗ったまま映画鑑賞できる屋外型シアターで50年代から60年代にかけて全盛期を迎えた業態だが、私が渡米した頃もよくお世話になったことを覚えている。お家にいながらにしてあらゆるエンターテイメントが楽しめるネットの時代になってすっかり影を潜めてしまい、今では全米に400か所、ロサンゼルス近郊でも数えるほどしかないが、ウォルマートがそれを一時的にでも復活させると聞いてノスタルジアにかられた。
8月から10月まで、およそ320件の興行を予定しているという。ニューヨークのトライベッカ・フィルム・フェスティバルの運営会社であるトライベッカ・エンタープライズとの提携により運営する。
ウォルマートの発表によると、ただ映画を上映する、というだけではなく、映画監督やセレブが特別出演したりするイベント性の高いものになるようだ。また、映画といえばソーダやポップコーンなどといった食べ物や飲み物も楽しみのひとつだが、オーダーを入れると車までデリバリーしてくれる、あるいは事前にオーダーしておいて到着の際に所定の位置でピックアップするなどのサービスも提供するそうだ。
バーチャル・サマーキャンプで困っている保護者たちに助け舟
また、子供向けのプログラムとしては「キャンプ・バイ・ウォルマート」と銘打ったバーチャル(オンライン)サマーキャンプ・プログラムを立ち上げる。アメリカの家庭では、夏休みの間、子供たちをあらゆる課外活動が楽しめる「キャンプ」に送ることが珍しくない。泊りがけで参加するキャンプもあれば、通学タイプの「デイキャンプ」もある。アメリカでは共働きの家庭も多いので、学校が3カ月間近くも休みになってしまう夏季には、「サマー・キャンプ」がなくてはならない存在になっている。
私が普段生活しているロサンゼルスでは、コロナがらみのロックダウンが始まってからもうかれこれ三カ月を超え、その間、子供たちは学校にも行けずにずっと家で生活している。はじめのうちは「学校が休みになってラッキー」という感じだったかもしれないが、そろそろマンネリと退屈が頂点に達する頃だ。ロックダウンに伴い在宅勤務している親御さんも多いだろうが、家族全員、もう我慢が限界に来ているという話もちらほら聞く。
革新
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。