米ビジネスウィーク誌4月28日号の特集記事は、ずばり、『世界で最も革新的な企業』。グーグル(2位)、トヨタ(3位)、アマゾン(11位)などが上位にランクイン。さて、新しいキーワードは、「顧客エクスペリエンス」・・・。
「世界で最も革新的な企業は?」
という質問に、皆さんだったらどう答えるでしょうか。
米ビジネスウィーク誌4月28日号の特集記事は、ずばり、『世界で最も革新的な企業』でした。これは、同誌とボストン・コンサルティング・グループの協業によるもので、世界最大規模2,500社の幹部約3,000人を対象にしたアンケート結果に基づくものです。なかなか奥の深い内容でまだすべてを消化できていないのですが、簡単な感想としてごく個人的に面白いと思ったことを二、三挙げてみたいと思います。
まず、気になる順位ですが、上から
1位.アップル
2位.グーグル
3位.トヨタ
4位.ジェネラル・エレクトリック
5位.マイクロソフト
となっています。やっぱりアップルは、画期的なタッチスクリーン・デザインで、携帯電話市場を揺るがしたiPhoneの市場導入が評価されているようですね。
また日本企業もなかなか健闘しています。トヨタ(3位)を筆頭に、任天堂(7位)、ソニー(9位)、ホンダ(16位)の4社が上位20位に堂々ランクインという快挙です。
この調査結果で最も興味をひかれたのは、各企業の「革新要因」のひとつに、「顧客エクスペリエンス」が含まれていたことです。この調査では、アンケートの質問内容の中で、各企業について、「その企業の、『何が』革新的なのか」を訊ねているのですが、「商品」、「サービス」、「プロセス」、「ビジネス・モデル」といった要因に並んで、「顧客エクスペリエンス」が挙げられていたのです。
上位の企業でいうと、グーグル(2位)や、アマゾン(11位)は、「顧客エクスペリエンス」の革新に秀でた企業として挙げられています。ちなみに日本企業は、トヨタを除く他の3社すべてが、「商品」の革新に秀でていると評価されていました(トヨタの革新要因は、「プロセス」だそうです)。やはり日本は「ものづくり大国」なのですね。
「顧客エクスペリエンス」は、定義するのが非常に難しい言葉です。アメリカでもいろいろなことが言われていますが、「企業との触れ合いにおいて、顧客が経験することの総合評価」とでも言ったらわかりやすいでしょうか。商品の品質や、従業員の対応や、プロセスにおける利便性などなど・・・、それらひとつひとつの要素を単独ではなく、包括して捉えたときに、顧客が下す評価。それが、「顧客エクスペリエンス」ではないかと思います。
最近になって、「顧客エクスペリエンス」という言葉は、顧客主導型市場の本格化に伴ってより一層注目されてきています。企業評価の指標のひとつとしても、重視されるようになってきているということです。
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。