コロナ・クライシス生き残り作戦ー米レストラン・チェーンの苦肉の策とは?

画像: 石塚しのぶ撮影

コロナ感染症拡大抑止を目的とする「ロックダウン(外出禁止令)」の影響をもろに受けているのがレストラン業界。米レストラン協会の調べによると、16%が既に廃業。来月にはさらに11%が廃業の見込みといわれている。そんな中、大手クイック・サービス・レストラン・チェーン、サブウェイやパネラ・ブレッドが生き残りを賭けて展開する苦肉の策とは???

ロックダウンが始まって以来、パネラ・ブレッドの売上は半減。サブウェイも同様に売上が減少し、本社の社員300人を解雇するなどの影響が出ています。「サブウェイ・グローサリー」は、フランチャイジーの売上を補完し、解雇の拡大を防ぐためだといいます。

また、やや小さめのサンドイッチ・チェーン、ポットベリー(Potbelly)も、「ポットベリー・パントリー(Potbelly Pantry)」という名前でグローサリーの販売を始めています。コロナ・クライシスが深刻化するとともに、この「グローサリー販売」のトレンドは大手のレストラン・チェーンにさらに広がっていきそうです。売上を補完する、食材の無駄を防ぐ、という利点のほかに、一般のスーパーで食材を買い求める人で長蛇の列ができる中、それに代わる食材調達の方法を顧客に提供し、ロイヤルティを高めるという意図もあります。

調理をする習慣があまりない「外食大国アメリカ」ですが、ロックダウンの中、生活者は普段の食費を外食からスーパーなどの買い物にシフトしており、その影響で3月中旬以降のスーパーの売上は約73%増加しています。その一方で外食産業が困窮しているわけですが、「グローサリー販売」という工夫が売上向上にどれだけ貢献するのか、そして究極的に、レストランを解雇や倒産から救う策になりうるものなのかは未知数です。しかし、生き残りをかけて様々な創意工夫を凝らす企業に敬意を表すとともに、生活者としても力を尽くして応援していきたいものです。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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