収まる気配の見えないコロナ渦ですが、経済にも深刻な影響を与え始めました。接客業や販売業は大ダメージを受け、今のところ回復の見込みも見えません。また新卒学生の合同説明会は軒並み中止され、就活学生も採用企業も右往左往しています。そんな中、ついに「コロナ内定切り」が勃発しました。
1.コロナ内定切り
コロナ渦を理由に経営不振に陥った企業が、新卒内定の取り消しを始めました。収まる目処の見えない中、企業は必死にもがきますが、それ以上に今の時点で行き先を失った新卒学生にとっては、もはや後戻りできない中で困惑しています。
リーマンショックの頃といえば、私が大学のキャリア支援を始めたのもその時期です。内定切りも問題になりましたが、その後の人手不足により内定切りはあまり話題に上らなくなりました。そんな中、2月収束どころか4月を超えても恐らく平常運転に戻るのは難しいほどダメージを負った経済活動は、ついに内定切りという禁断の手に出てしまったといえます。
政府も内定切りを認識し、経団連始め経済団体に内定切りをやめるよう呼びかけ、新たに雇用調整助成金特例など対策し始めました。残念ながら、内定切りをする企業は規模の小さい会社が多く、経団連加盟企業クラスでの内定切りは報道されていないようです。
2.内定切りにあった学生は
まず第一にすることは自分の大学のキャリアセンターへの相談です。キャリアセンターが頼りにならないと勘違いしている学生は少なくないのですが、多くの大学ではキャリアセンターに採用情報は集まります。またほとんどのキャリアセンターでは、大学教員や事務職員だけでなく、民間企業出身の専任教職員が所属しています。内定取り消し通知を受けたショックで身動きできなくなってしまう人もいるかも知れませんが、今動かなければ致命的な結果しか残りません。とにかく一番頼りになるのはキャリアセンターなので、まずは相談に行きましょう。
企業は神様でも裁判所でもありませんので、一方的にあなたの内定を取り消すことはできません。法律で内定者の権利は明確に保護されているのです。「景気が悪いのでやっぱり採用はやめる」というのは内定取り消し理由にはならないのです。
しかし学生個人が企業と渡り合うのはあまりに無理があります。ここはそうした法的な知識もあり、採用問題の専門家であるキャリアセンターの出番なのです。場合によっては大学がサポートしてくれる可能性もあります。とにかく1人で戦うことだけはやめましょう。親であっても、人事問題に通じていなければほぼ無力です。
3.内定を取り消した企業
遅い対応のせいなのか、PCR検査が足りないせいなのか、それでも日本はましなのかわかりませんが、接客業や販売業は大ダメージを受けています。とても新卒など採れる環境ではないのかも知れません。しかしそれでも新卒採用の内定取り消しは最後の最後まで待って下さい。
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2021.01.18
2021.02.14
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。