経済との両立を旗印としてコロナ無策の結果、経済まで立ちゆかなくなりそうな昨今。一方で就職活動をする学生は、年明けとともに正に就活本格化の正念場を迎えています。まず始めに一番悩むのが会社選びですが、コロナによって企業体質が見やすくなっていることがあります。
・「社風はどうですか」という無意味な質問
面接練習や企業セミナーでよく学生がする質問に「御社の社風はどうですか?」があります。どんな答を期待しての質問でしょうか。
考えてみて欲しいのですが、これが「大学の学風はどうですか?」と聞かれて説明できますか?文系と理系じゃだいぶ違うし、学部と院も違うし、キャンパスがあちこち離れた大学もあるし、何より自分は大学を代表するような学生ではないし、あくまで自分の周囲はこんな感じ・・・・全学生がキャンパスライフを楽しくエンジョイしたり、教授や男女学生+留学生も入り交じって楽しく語らうようなことができてるんでしょうか。
学風なんてものは受験案内のパンフやWebの宣伝コピーだったり、良くて「早稲田はバンカラ、慶応はお坊ちゃま」って、偏差値だけでなく受験生の家計・所得も考えれば、そんな違いあるとは思えないような雑で、使い古されたイメージにすぎないのではないでしょうか。会社だって同じです。
社風を聞くことがダメなのではありません。「社風は何か?」という質問に隠れている、自分にとって正しい企業選択かという、思考停止の丸投げ質問になりかねないことがダメなのです。会社員ならわかるでしょうが、「社風」なんてあやふやなものは、直属の上司や部・課、部長、課長が替われば180度かわってしまうようなものだと思いませんか。社風を聞いたからといって落とされることはないと思いますが、得るものも何もない質問だと思います。
・どうやって会社を選ぶべき?
では会社を判断する材料は他にあるでしょうか?東北大学大学院生命科学研究科では、企業分析セミナーを通じて会社の選び方も解説しています。その会社の事業内容と、自分が生み出す生産性が合致する、少なくとも同じベクトルであることを確認すべきなのです。「ゲームが好きだからゲーム会社を選ぶ」のではダメなのです。なぜならゲーム会社の仕事はゲームをすることではないからです。ゲーム会社の仕事は「売れるゲームを供給すること」。売れるゲームを企画する、プログラムする、調達する、デザインする、販売する、広告する・・・・のは、社内での就く業務によって求められる生産性は異なります。
そこを理解することが企業研究であり企業分析です。社風など聞いたところで、自分に課される生産性はわかりません。会社の仕組みを理解することは根本であり、一番重要な判断材料となります。
会社といっても古い歴史のある企業から大企業、中小企業・ベンチャー、外資、古い業界新しい業界など、ビジネス環境もバラバラです。偏差値のような絶対尺度でしか判断できないようでは、およそ仕事に就いてから成果を上げることはできないでしょう。会社説明会は、リアルであれオンラインであれ、要は会社の宣伝です。宣伝の場で不都合場情報を堂々と出すことは普通ありません。しかし不都合かどうかはともかく、少なくともその説明者の職場の環境や、求められる業務姿勢を想像できる質問があります。
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2021.02.14
2021.03.09
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。